ホーム>初期鍵盤楽器>製作家・演奏家>須藤オルガン>仙台フォト日記 >98.11.4
昨日文化の日もリード管整音作業をしていました。
今回はえらく手間取り、結局今日の午後までCromorne 8'に掛かりっきりでした。Cromorneはもともと厄介な音栓なのです。それにしても手間が掛かったのはリードの厚さの見当が外れて厚すぎたことが主な原因でした。
まずCromorneらしい音を出すまでが結構忍耐仕事です。リードにカーブを付け足りないと、破れ障子に風のような音になります。カーブがある程度になり、すこし、"らしい" 音がし始めてもリードが当たる金属音が強くまだまともでは
ありません。この段階からは慎重にカーブを追加して行きます。
Cromorneのカーブは長さの中央部分が最も強く、根元はほんの少し、先端はもっと少し、先端と中央部の間もすこし、でもカーブが無いと音が硬くなります。
カーブをどこに追加するかを考えながら少しずつ進みます。カーブが多すぎると発音が遅くなったり、まったく発音しなくなります。ひとしごきでまるで発音しなくなったりします。
発音の遅くなるぎりぎりのところに良い点があります。発音が完璧に遅くなってから良い音がする場合はリードが厚すぎるのです。当初はリードを削ったりしていたのですが、低音部は一律に厚すぎるようだと気づき、かなりの数のリードを切りなおしました。リードを切るときには、ねじれなどの歪がリード材に出ないように切らなければなりません。
画像は、整音が終わったCromorne 8'を背景に、交換したリード材です。本当はCromorneには共鳴管の長さを調整するリングは付けません。今回は一部共鳴管が短すぎたことと、作業を楽にするために銅製リングを作りました。