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須藤オルガン工房

仙台白百合学園 1998.9.18

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 今日はNazard 2 2/3'の整音が完了。 この音栓は8'(基音)の 1/3の長さ、すなわち、8'のパイプの第三倍音を出す音栓です。 当然単独で使用することはありません。今回の楽器では真中の C すなわちc'からしかパイプはありません。

 ソロに使うのが主な目的なので低音域では使わない、ということと、低音域で場所を節約する必要があったからです。

 ここのオルガンのようにオルガンの奥行きを節約しなければならない場合、非常に助かります。最低音からあれば、このような小型の楽器でも 4'+2 2/3'でOctav Alta(記譜よりもオクターヴずらして演奏すること、この場合はオクターヴ下げて)で演奏すると、Gross Nasardの効果を作ることができます。その点では残念です。

 夕方 仙台東一番町教会のオルガニスト 佐々木しのぶさんご一家が来てくださいました。画像は佐々木さんご夫妻の息子さん、悠(ゆう)君(中学校3年生)です。彼もBachの曲などを披露してくれました。

 ほぼ時を同じくして宮城学院音楽科の三友副手も来てくださいました。彼女はフランス古典を中心に出来たばかりの第二鍵盤の音を聞かせてくれました。

 自分としては聖堂の響きに助けられた面はありますが、かなり満足です。Montre、Praestantを少し柔和にしようとは思っています。Bassの柔らかく包容力のある響きには大満足です。壁に16'を取り付けた甲斐があったと思っています。

 宮城学院の先生と副手さん学生さん、宮城教育大の方々、今日ご家族で来てくださった佐々木さんなど来訪者は嬉しいのです。仕事を中断してでもオルガンを弾いていただき感想を聞かせていただき、自分もオルガンから離れて聞く。

 必要であればそれを糧に手を加える。楽しみでもあり、オルガンを完成させる過程で必要なことでもあります。 明日はアマのオルガニスト(専門はCPUの設計)、月曜には宮城学院出身のオルガニストが来てくださいます。

 このフォト日記をご覧の方はあるいはお気づきかと思います。一番来てほしいし、言われなくても来るのが自然と思われる 学園のオルガニストは現れません。オルガンを完成してゆく過程に携わるという、オルガニストとして一生に一度有るかないかのチャンスを逃しているのは全く不可解であります。オルガンの今後にどのような運命が待っているのか気がかりです。

 私にとっては、オルガン完成後引き渡しが終わっても、気持ちは

   「私のオルガン」  

です。オルガニストにとっても学校のオルガンではなく

   「私のオルガン」  

であってほしいものです。

 楽器に愛着を持てないオルガニストに「私の楽器」を委ねることになるのでしょうか?

 披露演奏会の計画もオルガニストが中心になって計画しなければならない段階だと思うのですが。
 オルガン製作者としては残念です。


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