fly with the wind > 小型電動RCヘリコプター

T-Rex450XLInnovator MD530Forza 450

3.450クラス機種選びのポイント


 450クラス電動ヘリ(メインローター長325〜360mm)について、筆者がこれまで調べたり経験したことからいくつかのポイントをまとめてみました。

3.1. テール駆動方式

 現在はベルトドライブが一般的です。ベルトドライブですとベルトがスリップするので、クラッシュ時の破損箇所が少なくてすみます。テールパイプが曲がるようなクラッシュでも、ベルトドライブならダメージが少なくて済むケースもあります。ただしベルトは摩耗しますので、消耗品と考え、定期的なチェックと交換が必要です。また、ベルトは静電気を発生することがあり、これが受信機に影響して誤動作が起こったりすることがあるようです。

 他方、3DヘリのT-Rex 450 Pro、450L Dominator(アライン)、Rave 450(カーティス・ヤングブラッド)などはシャフトドライブ(トルクチューブドライブ)を採用しています。シャフトドライブはクラッシュ時にシャフトとギアを壊しやすい、ギヤをなめやすいのが欠点です。

3.2. 樹脂製か金属製か

 RCヘリには主要パーツやフレームが樹脂製のものと金属製(主にアルミ)のものとがあります。それぞれ一長一短があり、さらにメーカーによる品質の違いもあり、簡単に優劣はつけられません。

 まず樹脂製のメリットは軽量、安価、ネジロックを塗布しなくてもビスが効くことです。特に小型ヘリの場合、軽量であることは操縦性と飛行時間に大きく影響します。このため良心的に作られた樹脂製ヘリは、金属部品を多用した重いキットよりも飛ばしやすい場合もあります。また樹脂製フレームは柔軟性があるため、クラッシュ時の衝撃で変形しても、ある程度まで復元します。

 樹脂製のデメリットは、製品によっては剛性と精度が不十分で操縦性が悪くなったり、振動が発生したりすることです。また樹脂の品質管理の不備から強度不足になることもあります。ただし、各パーツには飛行に必要最小限の強度を持たせ、クラッシュの際には壊れることで他のパーツやモーターなど守る、という考え方もありますので、ただ強度があればよいというものではありません。

 もうひとつ、樹脂製パーツの特性として、夏場は柔軟性があって壊れにくくても、冬場には柔軟性がなくなって、ちょっとした力でも壊れやすくなる点が挙げられます。これは現在の合成樹脂の宿命のようです。

 金属製のメリットは、高精度が実現できることと剛性が高いことです。これによって正確にコントロールができ、操縦しやすくなります。特にヘッド回りやテール回りは、適切に設計された、精度の高い金属パーツを使うと操縦性が向上します。

 金属製のデメリットは、樹脂製に比べて重くなること、高額になることです。そして金属パーツでも激しいクラッシュの場合は変形して使えなくなります。金属パーツや金属フレームは、墜落の衝撃でいちど変形すると正確にもとに戻すことは不可能です。また金属パーツの組み立ての際には、ビスやボルトに必ずネジロック(ロックタイト222など)を塗布しなければなりません。そうしないと飛行中の振動でネジがすぐに緩んでしまいます。

 振動といえば、金属ヘリと樹脂製ヘリでは音がだいぶ違います。機体にもよりますが、同一サイズであれば、おおまかにいって金属ヘリは文字通り、金属的な鋭い音がしますが、樹脂製ヘリは鋭い音が少なく、感覚的には静かな感じになります。

 以上を総合的に判断すると、入門には定評のあるメーカーの樹脂製パーツと樹脂製フレームの機体が適しているといえます。機体が安価であり、クラッシュの際のパーツの価格も安く抑えられます。ある程度レベルが上がったら、スワッシュ、メインローターグリップ、センターハブ、テールケースなどをオプションの金属パーツに交換していくこともできます。

 入門レベルを終えて腕が上がったら、ヘッドパーツ、テールパーツが金属製、フレームがカーボン製のものに進むとよいでしょう。

 なお、一部海外製品に粗悪な金属パーツや金属フレーム、カーボンフレームのヘリキットがあるようですので、注意が必要です。一見、樹脂製よりも高品質に見えますが、金属パーツはむしろ少量生産が容易で、小さなメーカーでも生産できます。しかし粗悪な金属パーツは、強度を出そうとすると重くなり、逆に軽量化すると強度不足になる傾向があり、重くて飛ばないか、すぐに壊れる、しばらくするとガタが大きくなる、ということになりがちです。また、ヘリはボールベアリングを多数使用しますが、安価なキットはこの点で不安があります。ベアリングの品質は、外見からは判断しにくいので、機体の製作やメンテナンスに慣れるまでは、無名のメーカーの安価なキットは、避けた方が無難です。

3.3. 組み立てキットか完成機か

 かつては「模型」というと作る楽しみが大きな意味を持っていましたが、現在のラジコンは飛ばす楽しみが主体となり、完成機あるいは半完成機が多くなってきています。ヘリの場合にも完成、半完成のキットが増えています。

 ただ、ヘリの場合には組み立てキットにもメリットがあります。

 まず完成機に比べて安価であること。そして組み立てキットから作ると構造が理解できるので、日常のメンテナンスが効率的にでき、万が一のクラッシュの際にもパーツ交換や修理が容易になります。

 筆者が製作したエンブラ450E、フォルツァ450はよくできたキットで、最初、取説を見ると、かなり面倒に思えますが、いざ作り始めると予想したほど難しくはなく、組み立てを楽しむことができます。

 完成機、半完成機は当然、組み立てキットよりも短時間に飛行が可能です。Blade 450 3D、Blade 450X(E-flite)はメカ搭載済み完成機で、文字通り、箱出しでホバができるほどです。

関連ページ:
・ツール&グッズ

3.4. ブラシレスモーターとESC

 ヘリの場合、慣れないうちは、モーターとアンプは定評のあるメーカーの製品を使うのが安全です。もし、どちらかに重点を置くのであれば、筆者はESC(Electric Speed Controller、スピコン、アンプ)によいものを使うことをお薦めします。

 ヘリ用ESCで重要なのは、連続最大電流値が適切であること、BEC容量が大きいこと(450クラスの通常飛行の場合2A以上)、軽量であること、できればガバナーが使用できることです。

 コントロニク Kontronikキャッスルクリエーションズ Castle Creations の製品は、価格は割高ですが高性能で信頼性が高く、定評があります。安価な製品には、効率が悪くパワーが出ないものや、ガバナーが適切に動作しないものもあるようです。

 またアンプとモーターには、多少、相性があるようですので、まずはキットメーカーの推奨する組み合わせや、雑誌やネット上に使用例がある組み合わせにするのが安全です。

3.5. プロポ・サーボ・ジャイロ

 送信機(プロポ)は入門用、中級、ハイエンドと選択肢が広いですが、最初はフタバ、JRの入門用〜中級機でよいでしょう。ただし、ヘリの場合、タイマー機能は必須です。日本では、これまでフタバがスタント機、JRがヘリと得意分野がありましたが、最近はプロポの多機能化が進んだため、各社の差は少なくなっています。

 かつてはスワッシュサーボのミキシングはプロポ側で行っていたため、ヘリ用プロポには、各種スワッシュタイプに対応するミキシング機能が装備されていました。しかし、最近は3軸ジャイロが高性能化し、スワッシュコントロールの複雑なミキシングはジャイロが行うようになっています。このため、プロポはエルロン、ラダー、エレベーター、ピッチ/スロットルの信号を送るだけですむようになり、プロポ側に複雑な機能は必要なくなってきています。この意味では、シンプルな6チャンネルプロポで充分ですが、筆者は、最初から中級機以上をお求めになることをお薦めします。その理由は、ヘリでは微妙なスティック操作が要求されるため、スティック回りのグレードが問題になるからです。

 具体的には、廉価版プロポでは、しばらくするとガタが出てスティックのニュートラル精度が悪くなる、スプリングが強く、弱くすると追随性が悪くなる、などの機械的な問題が生じることがあります。フタバ、JRでは廉価版のモデルでもじゅうぶんな性能が維持されていますが、JRならXG8以上、できればXG14をお使いになることをお薦めします。プロポは長期間使うものなので、ある程度のグレードのものを購入しても、「猫に小判」にはなりません。

 サーボはフタバ、JR、ハイテック(HiTec)の製品が無難です。安価にしたいと思うこともありますが、一部の安価な海外製品には、品質管理が甘くバラツキの多いもの、ニュートラル精度の悪いもの、ギアが壊れやすいものもあり、ある程度、経験を積まないと適切な製品を選ぶことができません。多少、割高に感じられても、まず最初はフタバ、JR、ハイテックの定評のあるサーボを使うことをお薦めします。

 テールサーボ(ラダーサーボ)には、各社から発売されているテール専用サーボを使用します(テールサーボには特にスピードが要求されます)。450クラスに使えるものとしてはフタバS9257、BLS257、JR DS3500G、JR DS380G、ハイテックHSG-5084MGなどがあります。

 ジャイロも、フタバ、JR、ハイテクの実績のある製品がお薦めです。

 入門段階では必ずしも3軸ジャイロは必要ありませんが、汎用の3軸ジャイロでは Mini V-Bar(Mikado)、Microbeast(BeastX)が実績があり、世界的に広く用いられています。国内製品ではCGY750(フタバ)、TAGS01(JR)、TAGS mini(JR)があります。これらの3軸ジャイロは、機械的なスタビライザー(フライバー)を電子制御に置き換えるもので、機体や自分のフライトスタイルに合わせるための設定(プログラム)が必要です。筆者はGyrobot 900とMicrobeastを使った経験がありますが、最初は設定にかなり時間がかかりました。

3.6. スタビ機か、スタビレス機か

 現在のヘリのヘッドは、機械的に安定を維持するベルヒラー方式のスタビライザー(フライバー)を備えるタイプと、スタビライザーなしで、3軸ジャイロによって安定性を得るタイプ(スタビレス、バーレス)の2種類があります。スタビ機はヘッドメカニズムがやや複雑ですが、3軸ジャイロは必要としませんので、全体としては安価になります。スタビレス機は、ヘッドはシンプルですが、3軸ジャイロの設定に手間がかかり、初期費用もスタビ機より、やや高額になります。

 シミュレーションでホバや上空飛行ができるように練習してから飛ばすのであれば、どちらでも差はありません。ただ、クラッシュしたときには、スタビ機は修理が面倒です。スタビレス機では、ヘッドはシンプルなので、スピンドルシャフトの交換ぐらいで済む場合もあります。

 まずスタビ機で450クラスに入門し、ある程度、上達したらスタビレス機+3軸ジャイロ、というのが正攻法ですが、最近の3軸ジャイロは非常に安定していているので、450クラスは最初からスタビレス+3軸ジャイロもよいのではないかと思います。特に、Forza 450スーパーコンボは、モーター、ESC、サーボ、3軸ジャイロ TAGS miniがセットされ、3軸ジャイロは設定済みで、JRプロポを使用する場合の設定データも付属しているため、それほど手間をかけずにフライトすることができ、450クラスの入門用にもお薦めできます。

・参考ページ:Forza 450@fly with the wind

3.7. 国内製品か、海外製品か

 パーツの入手性とアフターサービスを重視するなら、国内メーカーのキットと、メーカー推奨のモーター,アンプを使用した方がよいでしょう。具体的には、JR、ヒロボー、京商、トリムコーポレーションの製品となります。

 T-Rexシリーズは台湾製ですが、国内に正規輸入代理店があるので、パーツの入手性は国内メーカーとほぼ同等と考えてよいでしょう。

 最近は、中国、香港、台湾のメーカーが、かなり安価なヘリキットや完成機を販売していて、海外通販や国内のネットショップから入手可能ですが、品質管理やパーツの入手性を考えると、経験者向き、ベテラン向きで、入門レベルの方にはお薦めできません。

【海外通販を利用する】

 海外のネットショップから通販で購入する場合は、信頼できるショップを選ぶ必要があります。筆者はキット、パーツ、ヘリ用品に関しては、主にアメリカのA Main Hobbies、HeliDirect、ReadyHeli、 香港のHeliPal、RC711、リポバッテリーは香港のHobby King 、一般的なRCパーツはアメリカのTower Hobbiesを利用しています。いずれも支払いはPayPal、小額の小物パーツも入手可能で、安心して利用できます。ただ、日数と送料はそれなりにかかります。

 DHLなどの国際宅急便を指定すれば3〜5日で届きますが、費用がかなり割高になりますので、筆者は一般的な航空便(Priority Mail International)かEMS(アメリカではExpress Mail International)を指定しています。迅速に発送してくれるのはA Main Hobbiesで、EMSを指定した場合、通常7日ほどで届き、最速4日で届いたこともあります。トラッキング(追跡)データをチェックすると、日数がかかるのは、しばしば日本に到着してからで、通関にかかる時間によって、配達日時が大きく変わってきます。なお、現在はリポバッテリーはDHL、FedEx、UPSなど、国債宅急便しか利用できません。EMS、USPSなど、各国の郵便局扱いの航空便では、リポを送ってもらうことができません。

 なお、香港やアメリカからのEMSのトラッキングデータは、しばしば各段階できちんと更新されないことがあり、まだ通関手続き中だと思っていたら配達された、ということもありますので、注意が必要です。DHL、FedEx、UPSは速いことは速いのですが、価格は割高で、総合的に見ると、EMSが価格とスピードのバランスがよいと思います。

 海外通販では、トラブルが起こると面倒なことになります。たとえば、初期不良があった場合。いったん、店に返送しなければなりませんが、これが非常に面倒です。特に、日本から送る場合、リポバッテリーは航空便や国際宅急便で送ることができません。英語による返品や交換の交渉も面倒です。同じ製品が国内で入手できる場合は、多少、価格が高くなっても、国内のショップから入手されることをお薦めします。

last updated: 2015.03.09



fly with the wind > 小型電動RCヘリコプター