1.1. スキッドブレースの固定ネジは小さく、筆者の購入したキット付属のプラスドライバーはちょっと大きくて使い勝手がよくありません。手持ちの「精密ドライバー」といわれている小型プラスドライバーを使いました。
このネジを外すときはドライバーをしっかり押してネジ山をなめてしまわないように注意が必要です。またこのネジでスキッドブレース上部をボディに固定するときにはピンセットでネジをつまんで位置を決めるとよいでしょう。このネジは黒く小さいので、うっかり落とすとなかなか見つかりません。
2.1. 本体トリマー
エルロン、エレベーター、ラダー、ジャイロの調整トリマーはほんのわずかでも効きます。付属の樹脂製のマイナスドライバーも先端がトリマーに対して幅広でちょっと使いにくいので、ナイフで削って幅を狭くすると使いやすくなります。
2.2. ニュートラル
エレベーター、エルロン、ラダーのニュートラル調整は、説明書に書いてあるように機体を手で持って調整すると短時間で合わせることができます。これは小型電動ヘリならではの調整法です。床の上ではローターの吹きおろしの風のため機体が安定しません。この調整を入念に行うことが、結局はホバリングできるまでの時間を短縮してくれることになります。機体が不安定なまま舵で抑えていてはちょっとしたミスで転倒させてしまったり、壁や家具へ衝突させてしまいます。
2.3. ラダーの調整
ラダー(ヨー軸、機首を左右に振る動き)のニュートラル調整はプロポのトリムではなく、アッパーブレードのピッチ角で調整します。小さなプラスネジを回しますが、この加減が微妙で、また左右のネジを正確に同じだけ回さなければならないため、筆者は精密ドライバーにマジックで印をつけ、どれくらい回したか確認できるようにしました。最後は90度単位で回してニュートラルが決まりました。
2.5. メインブレード取り付けネジの締め具合
メインブレードの取り付けネジ(M2X9PH)の締め具合で操縦レスポンスが変化します。マニュアルP27には「メインブレードが前後に軽く動く程度」と書かれていますが、これはちょっと曖昧です。機体を左右に傾けたときにブレードが自重で動かない程度にネジを締めた方がよいようです。ガチガチに締め付けるのもよくないようですが、ややきつめ、ぐらいがよいと思います。この加減はけっこう微妙で言葉で表現しにくいので、少しずつテストして操縦性を観察してみて下さい。
2.6. 調整・メンテに妥協しない
ローターのバランス、トラッキング、ラダー回転の調整など、XRB-SRは調整すべき箇所がたくさんあります。これらのひとつでも適切でないと、ホバリングが不安定になったり、操縦性が悪くなったりします。調整にはじゅうぶん時間をかけ、妥協しないことをお勧めします。
ローターブレードはクラッシュしなくても、飛行を続けるうちに取り付けネジ付近が弱くなることがあります。また、使用しないでしばらく放置しておくと、変形することもあります。したがってローターブレードは消耗品と考え、クラッシュしなくても定期的に新品と交換した方がよいと思います。
3.1. なるべく広いところで
慣れるまではできるだけ広い部屋で飛ばした方が安全です。筆者は最初リビングの家具を片づけて、およそ2m×4mのスペースを作って練習しました(長辺の中央、つまり左右に2m、前に2mの位置に立って操縦します)。機体が壁や家具あるいは天井に近づくと吸い込まれるような挙動をすることがあるので注意が必要です。
ホバリング時に一定の高度を維持するのが難しいのは部屋の広さと天井の高さによるようです。アメリカの掲示板には、4.8m×6m、天井高2.7mで飛ばしていた人が7.5m×7.5m、天井高4.8mで飛ばしたところ、ずっとホバリングが安定したという記事がありました。XRB-SR自体は小さいですが、ローターの吹き下ろす風はかなり強く、それが壁や天井に当たって返ってきますので、やはり周囲にはそれなりの空間が必要なのです。
筆者は自宅のリビングでは正面ホバリングと側面ホバリングまではできるようになりましたが、対面ホバリングの練習が思うようにはかどりません。舵をうっかり打ち間違えたときに余裕がないのです。そこで勤務先の床スペース6m×11m、天井高2.7mの部屋でホバリングしてみたところ、3〜4フライトで対面ホバがなんとかできるようになり、また方形旋回もできました。やはり練習は広い場所の方がよいようです。
なお、XRB-SRのような固定ピッチヘリのスロットルは反応が鈍く、上げると機体がゆっくり上昇しますが、下げるときはずっと速く降下します。ですから高度を下げるときはスロットルをごくわずかに下げて様子を見ます。スロットルを急激に下げるのは危険です。また一定高度を維持するには、スロットルを下げたら機体が降下する前にすぐにもとにもどすような操作も必要です。
3.2. キャノピーの加工
バッテリーを取り付けた後にキャノピーを取り付けますが、このとき気を付けないとキャノピー下面がバッテリーを後ろに押してしまうことがあります。キャノピーを取り付けたらボディ下面をよく見て、キャノピーがバッテリーやバッテリーケーブルを押したりしていないか、毎回確認した方がよいでしょう。筆者はキャノピー下面のバッテリーがあたる部分とケーブルがあたる部分を7mm〜15mmほどカットしました。またドスンと着陸したときもバッテリーが後方にずれることがあります。
3.3. スキッドブレース
スキッドブレースは衝撃を受けるとすぐに外れます。特に後部のブレースが外れやすいようです。飛行ごとにチェックした方がよいでしょう。
3.4. 始業点検
飛行の前には以下のチェックリストで機体の始業点検を習慣づけましょう。「○○よし!」と指差呼称(指差し確認)してもいいですね。
・スキッドブレースはきちんと固定されているか。
・キャノピーはきちんと固定されているか。
・バッテリーは後ろにずれていないか。
・ローターブレードにしわやへこみがないか。
3.5. 飛行時間
4つのパラメーターを同時に操作するヘリでは集中力が要求されます。50代の筆者の場合は集中力を維持できるのは3〜4分というところでしょうか。連続飛行はモーターにも負担となるようですから、バッテリー1本の飛行可能時間12〜14分を2〜3回にわけて飛ばし、間に5分程度のインターバルを取り、その間はファンで機体に風を当てて冷却を促進するようにしています。
メーカーは15分以上の連続飛行はしないようにといっています。モーターの寿命が大幅に短くなるためです。ですから予備バッテリーを充電しておいて、15分飛行したらすぐに交換し再びフライト、というような飛ばし方も避けたほうがよさそうです。筆者はバッテリーを2本持っていますが、1本の飛行が終わったら10〜20分(季節によって変わります)ほどファンで風を当ててから2本目の飛行をするようにしています。
4.1. バッテリーの管理
リチウムポリマーバッテリー(以下リポ)は過充電、過放電に弱いので、扱いには注意が必要です。機体が上昇しなくなるまで使い切った後は機体から取り外し、15〜60分ほど放置して冷ましてから満充電し、保管します。専用充電器を使っていれば過充電の心配はまずありません。リポは自己放電率がニッカド電池やニッケル水素電池よりも少ないので、1〜2日後に飛ばすのであれば再充電の必要はありませんが、充電器に接続すると多少は追加充電されます。
リチウム・ポリマー電池は2ヶ月以上使用しない場合は容量50〜80%で保存するのがよいといわれています。使用後、40〜50分充電して保管すればよいでしょう。ただし、動力用に使用する場合にはあまり寿命は長くありません。使用頻度にもよるので、一概にはいえませんが、大ざっぱにいって早ければ1年、長くても2年で使えなくなると考えておいた方がよいと思います。アメリカの掲示板には、使用の有無にかかわらず、リポの寿命は3年という記事もありました。
4.2. 充電器
付属の充電器は、初めは約690〜700mAhで充電し、満充電に近づくと徐々に電流値を下げていき、充電が完了すると電流をストップします(クランプ式電流計でモニター)。試しに汎用充電器のリポモードで約1C(700mA)で充電してみましたが、専用充電器の方が充電量はわずかに多くなるようです。ACコンセントから充電するのであれば専用充電器がベストマッチと思われます。
4.3. コネクタの接触不良
30フライトしたあたりから、ときおり電源スイッチが入らなかったり、飛行中に回転が不安定になるという症状が出始めました。コネクタを抜き差しすると直ることが多いので、バッテリ側のコネクタ(下画像)を見たところ、3本のピンの先端がやや開いているように見えます。かなり細いのでマチ針の先をピンの横に差し込み、内側に力をかけてピン先が狭くなるようにしてみました。その結果、本体コネクタに差すときの抵抗が強くなりましたので、やはりピンが緩んでいたようです。
なおこのコネクターは3ピンですが、機体側は両端の2本から電源を取っており、中央のピンは使用していません。中央のピンはセルの接続部から出ており、各セル単独の電圧がチェックできます。
総飛行時間が15時間を超えた時点でモーターを交換することにしました。購入したスペアモーターにはノイズキラーコンデンサーが付属していません。古いモーターについているコンデンサーを取り外して付け替えようとしましたが、うまく外れないので、新たに積層セラミックコンデンサー0.1μF(表記104、1個60円)を調達し、取り付けることにしました。
本体からのケーブルは白がプラス+、黒がマイナス−で、モーターには+のモールドがあります。コンデンサーは極性がありません。もとの取り付け方を参考にして同じように取り付けます。
ここで注意が必要なのは高さです。機体を組んでみると、メインギアとモーターのクリアランスが4mmほどしかありませんので、ケーブルやコンデンサーはなるべく低い位置に取り付ける必要があります。
モーター端子へのハンダ付けはコテ先の細いハンダゴテを使えば難しくないのですが、モーターケースにハンダがなかなか乗りません。いろいろ考えた結果、金工ヤスリでケースのハンダ付けしたい箇所を軽くこすって表面を粗したところ、ハンダが乗るようになりました。
なお、ハンダゴテなどの工具がない場合は、ヒロボー社に送れば実費でモーターを交換してくれます。
※純正以外のパーツを使用すると、場合によってはヒロボー社の保障・修理の対象外となることもありますので、自己責任で使用することとなります。
6.1. 大容量バッテリー
XRB-SR用として大容量のバッテリーが販売されています。1回の充電で飛行時間が長くなるのはよいことに思えますが、以下の点に注意が必要です。
(1)連続飛行は15分が限度
15分以上連続して飛ばすとモーターが焼き付いたり、寿命が極端に短くなるそうです。15分飛行したらいったん着陸させ、モーターが冷えるまで5〜10分インターバルを取った方がよいでしょう。特に夏場はファンや扇風機で冷却した方がよさそうです。
(2)重量増加はモーターの負担を増やす
大容量バッテリーが純正バッテリーよりも重い場合は、ホバリングに要するパワーが大きくなるため、モーターとバッテリーの負担は大きくなります(消費電流が増加します)。このため、モーターの寿命は純正バッテリー使用時に比べて短くなると考えられます。
以上の点から、筆者は大容量バッテリーはお薦めしません。純正バッテリーを2〜3個用意した方がよいでしょう。
6.2. カーボン・ローターブレード
XRB-SRのローターブレードは発泡スチロール製ですが、これは室内用、初心者用として安全性を最優先しているためと考えられます。ヒロボー社では純正ローター以外は使用しないようにアナウンスしています。
しかし発泡スチロール製ローターは製品に重量や形状のバラつきがあったり、剛性が弱く空力的には必ずしも性能が高いものではありません。このため、カーボンクロスをエポキシで固めた高剛性で精度の高いブレードが出ています。
純粋に性能面だけ見れば、剛性が高く翼型精度の高いカーボン・ブレードの方が効率はよくなります。ただし剛性が高いとコーニングが弱くなるため安定性は減少しますし、ローターが重くなると操縦性は悪くなります。
またカーボン・ブレードは剛性が高いぶん、壊れにくくなります。これは一見よいことに思えますが、必ずしもよいことばかりではありません。たとえば、レザー張りのソファに接触した場合はレザーを切り裂く可能性があります。また、家具などに激しく接触した場合、ローターハブやマストを破損してしまう可能性もあります。逆にいえば、発泡スチロール製ローターは自分が壊れることで機体の他の部分の損傷を防いでいるわけです。
last updated: 2010.08.20