モデル名 | ゼノ Xeno |
製造会社/販売会社 | Multiplex/ハイテク・マルチプレックス・ジャパン |
構 造 | エラパー主翼、プラスチックフレーム |
操縦系統 | エレベーター、エルロン(エレボン) |
翼 幅 (mm) | 1245 |
翼面積 (dm2) | 32 |
飛行重量 (g) | 665 |
パワーユニット |
Himax 2816-1220アウトランナーブラシレスモーター |
RC装置 |
Hitec HS-82MGサーボ×2 |
・プロモーションビデオ
・フランス、ヴァロワールでのフライト
スロープ用無尾翼グライダー、電動グライダーとしても飛行可能。発泡素材エラパーElaporを使用。
この機体は、樹脂製のヒンジパーツを用いて、機体を半分に折りたためるようになっています。また2つの垂直尾翼は専用のプラパーツによって脱着可能です。このため、保管と運搬が非常に楽になります(完成機体は折りたたんでキットの箱に入ります)。完成後の機体は、折たたみ、尾翼の脱着、パワーユニットの脱着に工具を必要とせず、ごく短時間で組み立て/分解ができます。
また、本機は別売の専用パワーユニットを取り付けることにより、プッシャー型の電動グライダーとすることができます。
このパワーユニットは脱着式で、モーターが重心位置に置かれるように設計されているため、パワーユニットを取り外してグライダー用キャノピーを取り付け、受信機用バッテリーを搭載すれば、スロープグライダーとして飛行できます。モーターを重心位置に置くため、機体後部のプロペラは4mm径カーボンの延長シャフトによって駆動されます。
欧文マニュアルではグライダー仕様550g、電動仕様650/690gとなっていますが、実際にはグライダー仕様665g、電動仕様814gとなりました。RC-Groupsのスレッドでも、電動仕様810gとなっています。強度アップのために発泡素材の密度を高めたため、重量が増加したものと思われます。
機体名Xenoは、ドイツ語のプロモーションビデオでは「クセーノ」と発音しているように聴こえますが、輸入販売元のハイテク・マルチプレックス・ジャパンでは英語式に「ゼノ」と表記しています。
2010年3月下旬、RCチャンプ秋葉原店で機体キット( #214239)、パワーユニット(ゼノ・チューニングユニット#332655)、HS-82MGサーボを購入しました。
プラスチックパーツは精度が高く、発泡素材とのはめあわせも問題なく、8時間ほどで完成しました。瞬間接着剤を用いて組み立てるように指示されていますが、高粘度タイプで作業時間が長く取れるものが適しています。主翼にはサーボ取り付けの穴と、ケーブルの溝がすでにモールドしてあり、ハイテックHS-82MGサーボがぴったりはまります。リンケージパーツもすべて付属しています。
パワーユニットは2種類ありますが、ショップの在庫がハイパワータイプの#332655だけでしたので、こちらを購入しました。ブラシレスモーターとスピコンを接続するコネクタは取り付け済み、バッテリー側はマルチプレックス4ピンコネクタが取り付け済みです。今回は手持ちのディーンズ・ウルトラコネクタのバッテリーを使用するため、バッテリー側のコネクタを交換しました。
重心位置は機首から220mm±10mm後方です。無尾翼機は重心位置がシビアですので、指で支えるような重心チェックでは正確に重心を設定することができません。そのため、220mm位置の胴体下面に0.8mmドリルで穴をあけ、そこに6号ナイロンテグスを通し、機体を裏返して(背面状態)重心をチェックするようにしました。電動仕様ではノーズバラストなしで指定重心となり、グライダー仕様では、4N1100ニッカドバッテリー(120g)を搭載して指定重心位置となりました。
エレボンの舵角は、取説にしたがって、エレベーターアップダウン各12mm、エルロン上げ14mm、下げ16mmに設定しました。
無尾翼機は裏表がわかりにくいので、上面翼端に赤の帯を入れ、キャノピーを赤に塗装しました(水性ウレタン塗料をハケ塗り)。
2010年3月末、初フライトしました。曇りで気温は10度未満、風は3〜4m/sです。まずグライダー仕様で手投げテスト。SHIROさんに投げていただきました。1回目、ややアップトリム気味なので、2コマダウン。2回目、ほぼ適正なグライドをしました。数回、手投げして操縦性を見ます。エレベーターに40%、エルロンに50%のエクスポをかけました。無尾翼機はこれくらいエクスポをかけた方が舵がマイルドになり、操縦が楽です。
次に電動仕様にし、動力飛行です。本機はプッシャーでプロペラが機体後方についているため、プロペラを回しての手投げは危険です。そこで、機体を投げた直後にパワーオンにすることにします。手投げはSHIROさん。風があるので、手投げ直後にやや機体が浮き上がり、エンコンを上げるとそのまま素直に上昇していきました。
使用しているバッテリーが3S1000の連続20Cですので、許容電流は20Aですが、チューニングユニットはフルスロットルでは20A以上流れます。そのため、安全を見て、最大出力が80%になるようにスロットルカーブを設定しました。静止状態で最大18A流れます。このパワーでもじゅうぶんな上昇力が得られました。
無尾翼機としては非常に安定しており、操縦性は素直です。さすがに速度を落としすぎると翼端失速を起こしますが、すぐに回復します。また、かなりバンク角をとった旋回も問題なく、飛ばしやすい機体です。
2、3フライト目は、筆者ひとりで、左主翼前縁を左手で持ち、モーターオンにしてからフリスビーを投げるような感じで発航してみました。じゅうぶんな向かい風があるので、軽く投げるだけで問題なく上昇していきました。
たまたまSHIROさん手持ちの3S1350バッテリーがぴったり合いましたので、今日のラストフライトをしていただきました。ロール、ループ、背面飛行などを見せていただきました。
小型のEPP無尾翼機に比べるとはるかに滑空性能がよいので、水平飛行ぎりぎりのパワーでゆったり飛ばしたり、条件がよければパワーオンで高度をとった後、パワーオフでサーマルソアリングを楽しむこともできそうです。
個人的には、ホルテンの無尾翼機を思わせるデザインも気に入っています。
モーターユニットを外し、小さなキャノピーがモールドされたハッチを取り付けると、本機はピュアグライダーとなり、スロープソアリングを楽しむことができます。飛行性能はマイルドで、中風5〜7m/sの風でのフライトに向いています。厚翼のため、安定はよいですが、スピードはあまり出ません。また、ヨーイングを起こして流される傾向があり、ラダーがほしくなります。
発泡素材なので、着陸時に潅木に前縁をぶつけても、補修は容易です。ちいさなへこみなら、ヤカンの水蒸気を当ててふくらませることができます。
last modified: 2015.03.25