モデル名 | Venus DLG |
製造会社/販売会社 | Blue Arrow/クラフトるうむ |
構 造 | バルサリブ・フィルム貼り主翼 |
操縦系統 | エルロン(フルフラッペロン) |
翼 幅 (mm) | 1230 |
翼面積 (dm2) | 14.64 |
翼 型 | MH 32 |
飛行重量 (g) | 219 |
RC装置 |
Blue Arrowサーボ*3(エルロン、エレベーター) |
完成DLG/SAL機。サーボ搭載済みで、リンケージと受信機、バッテリーの搭載で完成します。主翼はカーボンカンザシによる2分割式、水平尾翼は2本のビスで脱着可能で、運搬に便利です。
1.5mよりも小さいDLGとしては、ミニ・ファイアーワークスMini Fireworks、マイクロ・エックスレイMicro X-Ray、アポジー・エリート/スポーツApogee Elite/Sport、ギャンブラーGambler、エンジェルAngel DLGなどがありますが、いずれもスパンが750〜1000mmです。ビーナスDLGはスパン1230mm。1.5m級に近い滞空性能が期待できます。価格もリーズナブルです。DLG1号機として、ランチの練習や調整を勉強するために選びました。
2009年1月上旬、メールで在庫確認して注文、翌日の9時半頃に到着。
早速、説明書にしたがって組み立てます。といっても、フィルム貼り完成、動翼はヒンジで取り付け済みです。まず、付属のロッドでエレベーターとラダーにホーンを取り付け、リンケージを行います。動翼側はロッドを90度曲げて、キット付属の樹脂製のロッドキーパー(Du-Bro Micro E/Z Link相当品)を取り付けます。サーボ側ロッドはZベンダーで曲げました。
次にエルロンサーボの取り付け確認。サーボを押さえているバルサ板がちょっと浮いていましたので、瞬間接着剤で固定し、ホーンを取り付け、ロッドでリンケージします。エルロンは動翼側、サーボ側ともにロッドを90度曲げ、ロッドキーパーを取り付けました。
ランチ・ペグには力がかかり、翼端のバルサが割れやすいようですので、まずペグ(カーボンパイプ)が入る穴に低粘度瞬間接着剤を流して浸透させ、上面には0.3tカーボン板の補強板を追加しました。
エルロンは3枚のヒンジで取り付けられていますが、エルロンを手で動かしているうちにいくつか接着がはがれましたので、瞬間で再接着しました。
エルロンサーボのケーブルは、キット付属のYハーネスを使用して受信機に接続するようになっていますが、これでは差動(デファレンシャル)や可変カンバー機能が使えません。このYハーネスを加工して、プラス・マイナス共有、信号線のみ2本としたケーブルを作ってみましたが、どういうわけかうまく動作しません。そこで手持ちのコネクタを使用して延長ケーブルを2本作りました。また、グラスポッドの主翼が載る位置に少し段差があったので、ルーターで削りました。これらの作業にけっこう時間を取られましたが、それでも夕方には完成。重心位置を翼根前縁から53mmとするため板鉛を機首に搭載して飛行重量は213gとなりました。
2日後、午前中は風が弱い予報なので、河川敷に行きましたが、なんと平均8m/s、瞬間最大13m/sの強風で、とても飛行できる状況ではありません。写真撮影のみ行いました。
翌日、やっと風も収まり、午前中にテストフライトを行いました。
まず、軽く手投げしてみます。突っ込み気味でエレベーターが効き過ぎるので、舵角を減らし、アップトリムとします。次に軽くSAL投げしてみます。旋回時に巻き込むので、エルロンデファンレンシャルを50%から60%に増やし、エクスポを30%かけます。
ここで、助走をしてやや強くSAL投げしてみます。かなりナイフエッジ状態で上がっていきますが、なんとか水平にもどし、ダウンで押さえます。RC-Groupsや、オランダのサイトに書かれているように、垂直尾翼面積が不足気味です。それでも軽量なため、あまり腕力のない筆者でもそこそこの高度がとれます。
筆者にとっては初めてのDLGですが、SAL投げはKさんのアイスファイアを投げたことがあり、多少は経験していたので、問題なくできました。以前に作った槍投げ方式の機体よりもはるかに高度が取れ、腕の負担も少ないので、おもしろくて30分ほど投げ続けました。1回は低空の弱いサーマルに入って、4旋回ほどできました。小振りの機体で、主翼もバルサリブ組前半プランクにフィルム貼りという、最新の発泡カーボン/ケブラー貼りやシャーレの機体と比べると古い構造ですが、予想以上の性能です。
2009年1月下旬、垂直尾翼を大きくしてみました。また重量軽減と消費電流軽減のため、ラダーを省略。
垂直尾翼は手持ちの2mmバルサから切り出し、下部を瞬間接着剤で補強し、テールパイプ取り付け部にカーボンシートを貼って補強、全体をオラライトの透明黄色でカバーしました。
この結果、手投げ後に左に傾かなくなり、ほぼ水平に上がるようになり、獲得高度も稼げるようになりました。
2009年8月上旬、エレベーターリンケージを内径0.8mmポリイミドチューブと0.5mmステンレス線に交換。ポッド内は2箇所、バルサ棒で支えを作りパイプを接着、テールブーム内は小さくカットしたEPPを押し込み、ブームからエレベーターホーンまでパイプが露出している箇所はバルサ板でパイプを固定するようにしました。
受信機電源には、長万部航空機の「ちび電君」(4.8V350mAhニッケル水素電池、28g)を使用。ひさしぶりにフライトしましたが、自作の垂直尾翼が湾曲し、左ラダーが入った状態になっています。そこで、少し面積を小さくした垂直尾翼を新たに作り、交換しました。この垂直尾翼も2mmバルサから作りましたが、今回はフィルムは貼らず、カーボン補強のみとしました。
RC-Groupsのスレッドに、ラダーレスに関連して、エルロンの差動についての興味深い記事がありました。一般に下がった方の翼の抵抗が増大して、旋回方向とは逆のヨー軸回りの動きが発生するので(アドバース・ヨー)、エルロンの上げを大きく、下げを小さく、というのがセオリーです。それで、何の疑問もなく、この機体でも約1:2の差動(上げを大きく、下げを小さく)を付けていました。
ところがラダーレスのシリウスに関するスレを読んでいたところ、ハンドランチのような低速の機体でフルエルロンの場合は、下げを大きく、上げを小さくする、リバース・デファレンシャルというセッティングも行われていることがわかりました。
翼型やエルロンの幅にもよると思いますが、試しにビーナスで実験してみました。送信機のエルロンデファレンシャル機能を使って、まず上下同じ(差動なし)からフライトしてみました。10%ずつ数値を増やしてフライトしてみましたが、なんと-100%(上げ0mm、下げ8mm)でもフライトできました。ただ、この状態では着陸時にエルロンの効きが悪い感じがしたので、少し上げを増やし、-70%(上げ3mm、下げ8mm)でしばらくフライトしてみました。
旋回性は問題ありません。また、エルロンを切ったあとの巻き込みや機首下げもなくなった感じです。まさに目からウロコ、しばらく、このセッティングでフライトしてみようと思います。
Discussion - Sirius and flying with no rudder
ラダーレスのシリウスに関するスレッド。関連してリバース・デファレンシャルについての記事があります。
2009年8月中旬、やや雲の多い午前中、3〜4m/sの風です。30分ほど投げたところで運良く強いサーマルに遭遇、旋回させながら風下に流して、初めて100m前後の高度をとることができました。風がない状況では軽量のDL-110の方が圧倒的にサーマルに反応しやすく、乗せやすいですが、3m/s以上の風のある状況では、ビーナスの方が速度があるぶん広範囲を飛び回ることができます。中風用としてじゅうぶん楽しめる機体と思います。
キット指定の重心位置は翼根で前縁から53mmです。試しに少しずつ下げてフライトしてみましたが、水平尾翼があまり大きくないためか、58mmでは飛ばしにくくなりました。そこで再び重心を前進させ、現在は53〜54mmで飛ばしています。4.8V350mAhニッケル水素電池(コネクタ込み28g)と10gの板鉛でこの重心位置になっています。なお、ドイツの掲示板では55mmという記事がありました。
2009年8月下旬、ランチ時に主翼をねじってしまったようで、ランチペグの周囲のバルサが割れてしまいました。ペグ自体も割れてしまったので手持ちのカーボンパイプに交換し、周囲をカーボンシートで補強しました。
ビーナスDLG
クラフトるうむのキット紹介ページ。C-Power 10も扱っています。
Bouwverslag Venus DLG
ビーナスDLGの製作と改造のページ。オランダ語ですが、Babel Fishで英訳するとだいたい意味がわかります。
Discussion - Blue Arrow Venus DLG
RC-Groupsのスレッド。
last modified: 2009.08.24