vid: minokasagoさん
モデル名 |
Stingray 500 |
製造会社 |
Next-D /CJ Youngblood Enterprises Inc. |
操縦系統 |
エルロン、エレベーター、ラダー、モーターコントロール、ピッチ |
ローター径 |
285mm(×4) |
機長 |
約500mm(センターキャビン) |
飛行重量 (g) |
1363g |
動力ユニット |
純正3000KVアウトランナーブラシレスモーター |
RC装置 |
純正デジタルサーボ×4 |
※このページの各項目へのリンクです。
市販品としては、おそらく世界初と思われる可変ピッチのクワッドコプター(クアッドコプター)です。可変ピッチですので、マイナスピッチを用いることで背面ホバが可能、またバックフリップ、サイドフリップなども固定ピッチクワッドよりも小半径で可能です。もちろん、オンボードカメラで空撮も可能ですが、本機は、高い運動性を活かして、操縦を楽しむクワッドといえます。発売元のカーティス・ヤングブラッドはFPVでパイロンレースも楽しんでいます。
フレームは、従来型クワッドに一般的な「X」型あるいは「+」型ではなく、「H」型をしています。また、縦長のキャビンを搭載することにより、従来型クワッドに比べて、前後左右がわかりやすくなっています。
モーターは1個なので、4つのローターの回転数は常に同じです。回転数を上げると水平に上昇し、回転数を下げれば水平に降下します。エルロン、エレベーター、ラダーのコントロールは、各ローターのブレードのピッチ角を変化させて行います(下図参照。上が機首)。
コンボキットには、機体組み立てキット、着色済みキャビン、ブラシレスモーター、ESC、TG-Multi(3軸ジャイロ制御ユニット)、デジタルサーボ4個が含まれます。
モーターは1個で、まずモータープーリー14Tからタイミングベルトを介してメインドライブプーリー42Tとセンターシャフトを回し、このセンターシャフトの前後に取り付けられたメインドライブプーリー16T(2段)からベルトを介してロータープーリーを回転させます。ギアは一切、使用されていません。モーターが1個ですから、4つのローターは同じ回転数で回転します。ESC(アンプ)の設定はガバナーになっています。
可変ピッチの機構は、実質的にはヘリのテールローターと同じものです。サイクリックコントロールは行わず、コレクティブピッチのコントロールのみです。110mmの樹脂製ブレードがグリップに取り付けられています。各ローターに1個の標準サイズのデジタルサーボが配置され、プッシュロッドでピッチコントロールを行います。
コントロールと安定の維持には、本機のために開発された3軸ジャイロ内蔵のコントロールユニットTG-Multiを使用します。TG-Multiは、通常タイプの受信機を使用する場合は専用の2本のケーブルで接続し、フタバのS-bus、JRのX-bus対応受信機を使用すれば、1本のケーブルで接続できます。9個のLEDがメニューや設定値、設定状態を表示するようになっていて、メニュー選択/設定は、本体のプッシュスイッチとプロポのスティックで行います。2013年12月中旬現在、パソコンでの設定には対応していません。
ESCは45Aで、SBEC内蔵です。本機で使用する場合、BECは6Vに設定するように指示されています。
メーカーのウェブページには、本機の組み立て、調整、TG-Multiの設定などのYouTube動画へのリンクが掲載されています。また、組み立て説明書、TG-Multiファームウェアなどがダウンロードできます。
メーカーページ:Curtis Youngblood.com: Stingray 500
このページにはフライト動画もいくつかアップされています。また、以下の動画では、機体の構造、3Dフライト、機体搭載カメラの映像が簡潔にまとめられています。
Flite Test - Stingray 500 - REVIEW
機体はヘリキットと同じく、ほとんど六角ネジで組んで行きますので、ヘリを組み立てた経験があれば、短時間に完成すると思います。ただ、本機はこれまでに例のない独特の構造なので、筆者は説明書をよく読んで慎重に組み立てました。以下は、筆者の経験からの注意点などです(すべてのキットに当てはまるとは限りません)。
(1) メカプレートの水平出し
メカプレートと前後のブームの平行を出す必要があり、説明書では水準器を使用するように書かれていますが、筆者はデジタルピッチゲージを使用して水平を出しました。
(2) ピッチコントロールの調整
ローターユニットは組立済みですが、ピッチスライダーの動きがやや渋いため、各ネジをわずかにゆるめて調整しました。また、ブレードグリップは5.5mmロックナットでセンターシャフトに固定されていますが、これも念のため、ボックスレンチで増し締めしました(グリップはわずかにガタがありますが、ヤングブラッドの解説動画では、問題ないといっています)。また、サーボとピッチコントロールを接続するプッシュロッドのボールリンクのはめあわせが硬めでしたので、ボールエンドリーマー(ボールリンク・トリマー)を使って、なめらかに動くようにボールエンド(ボール受け)の内側を削りました。
(3) モータープーリーの取り付け
モーターシャフトにモータープーリーを取り付ける際、指定のワッシャ2枚を入れると、シャフトの面取した部分がプーリーのイモネジの穴に達しません。ワッシャを1枚外し、プーリーを1mmほどモーター側に近づけ、イモネジで固定しました。
(4) スキッドをゆでる
海外の掲示板の記事によると、本機の樹脂製スキッドは壊れやすいとのことです。ゆでるとよい、という記事があったので、15分ほどゆでてみたところ、柔軟性が増しました。合成樹脂よっては、一定の水分を含んでいないと十分な強度が出ないようですので、ゆでるのは一定の効果があると考えられます。
(5) メカトレーの延長
バッテリーの前後でをマジックテープで固定するため、1.6mm厚の合板で幅50mm、長さ65mmのプレートを作り、カーボン製のメカプレートの前方に取り付けました。
(6) ベルトテンショナー
各ローターハウジングには、2本のボルトで調節可能な樹脂製のベルトテンショナーが付いています。筆者のキットでは、ややテンションがかかる位置に固定してありましたが、これは、もっともゆるい位置にするのがよいそうです。
上掲のCurtis Youngblood.comから、ファイルをダウンロードしてTG-Multiのファームウエアをアップデートします。TG-Multi側はmini USBジャックです。手持ちのデジカメ用ケーブル(Nikon 1 V2用)が適合し、Windows XPパソコンでアップデートできました。
アプデートしたTG-Multiを機体のメカプレートに両面スポンジテープで取り付け、まず、外部電源(4.8Vニッカド)だけを接続して受信機タイプを設定します。次に、サーボ、ESC、受信機と接続します。なお、設定している間は、モーターとESCを接続する3本ケーブルのうち、2本を外しておきます。
説明書にしたがって以下を設定します。
・受信機タイプ
前述のように,6ch以上の通常の受信機、S-bus対応受信機、X-bus対応受信機を選択できます。
・サーボのニュートラル
・サーボのリミット(動作範囲)サーボのニュートラルとリミットを設定するときは、キット付属の紙製のピッチゲージを使用します。エルロン、エレベーター、ラダーの動作方向はプロポのリバースで設定します。
・ピッチカーブ
・スロットルカーブピッチカーブ、スロットルカーブはプロポで設定するだけでなく、TG-Multiにも動作範囲を記憶させる必要があります。
・ジャイロゲインの制御チャンネル
・ジャイロゲイン5ch(Gear)、7ch(Aux1)、8ch(Aux2)から選択できます。この場合は、フライトモードごとにジャイロゲインを変えられます。なお、プロポからゲインの制御を行わずに、TG-Multiにゲインを設定してフライトすることも可能です。
・オートトリム
完成後、実際にホバさせてユニットに記憶させます。
上述のウェブページから、説明書をダウンロードします。本機での設定が示されていますので、それにしたがって設定します。なお、付属のESCは、ビープ音を聴きながらプロポのエンコンスティックのハイ/ローでメニューや設定の選択を行うため、スロットルカーブを一時的に0-50-100に設定し、ESCの設定が終わったら、3で設定した値にもどします。筆者はSTUNT2を使いました。
2013年12月上旬、近所の児童公園で、夜 、テストホバを試みました。安定してホバしますが、上下動がやや大きいので、ホバ付近のノーマルのピッチカーブを少しなだらかにしました。
5.2. ホバと低速移動
12月中旬、風の弱い日に、河川敷で6パック、ホバしてみました。3パックしたところでホバの高度維持はだいぶ慣れたので、4パック目からは前後・左右にゆっくり動かしてみます。機体の形状がヘリとは異なり、薄いために、姿勢の判断はむずかしく感じます。6パック目には、低速で前進飛行させ、ラダーターンを試みました。しかし、横から見ると、やはり姿勢がわかりにくく、自分の左手での右旋回はうまくできませんでした。
タイマーで1フライト4分としましたが、着陸直後のバッテリーは、セルあたり3.8Vですので、もう少しホバできそうです。
ところで、この日はフライト中に、間欠的に「カチカチ」音がします。メーカーサイトの動画によりますと、前後のベアリングにボルトが当たることがある、ということなので、帰宅後にボルトに0.5mmワッシャを2枚かませてみました。これに伴い、スキッドのセンターの穴を少し広げ、ワッシャが干渉しないように加工しました。
・参考動画:Stingray Setup Videos #16 - Troubleshoot screws binding center bearing
5.3. 強風下でホバ
12月下旬、6〜9m/sの風の河川敷でホバしてみました。高度維持と姿勢を保つには、常に舵を打つ必要があり、筆者のレベルにはむずかしい状況でしたので、大事をとってテールイン・ホバのみとしました。なお、上述のカチカチ音はなくなりました。この時の静止画を笹目の休日さんに、また動画をSHIROさんに撮影していただきましたので、YouTubeにアップしました。この日は、その後、さらに風が強くなったので、1フライトのみで終了しました。
5.4. シミュレータで練習
RCフライトシミュレータ Real Flight 7用の本機のデータが下記サイトから入手可能です(Real Flight 6.5でも動作するようです)。
本機は横から見たとき、正面/真後ろから見たときに厚みがなく、平板状に見えるため、シングルローターヘリよりも姿勢の判断がむずかしくなります。この点、シミュレータでフライトすることによって、多少は、本機の「見え方」に慣れることができます。筆者は、ヘリの場合は「シミュレータでできるようになってから、実物で試してみる」ことにしていますので、本機の場合も、まず、シミュレータでバックフリップ、サイドフリップ、背面ホバを練習しました。
5.5. フリップと背面ホバ
2013年12月下旬、風の弱い晴天の日に、河川敷でフライトしました。最初の2パックはホバと前後左右への移動。だいぶ慣れてきました。3パック目にはアイドルアップに入れてみました。一瞬、高度が下がりますので、ピッチを上げます。次にバックフリップ。まったく問題なくクルッと回れました。シミュレータでの練習が役立ったと思います。バックフリップを数回行った後、フォワードフリップ。これも、問題なくできました。次に右サイドフリップ。ちょっとふくらみ、高度が下がりましたが、無事、水平にもどすことができました。ちょっと緊張したので、このフライトはここまでで着陸。
4、5パック目には、フリップを何回か繰り返した後、バックフリップで対面背面ホバに入れてみました。やや高度が下がるものの、前後左右は安定しています。これも、シミュレータで練習したおかげで、なんとか機体の姿勢が把握できました。見た目、4つのローターで踏ん張っている感じで、どこか、虫を思わせます。シングルローターヘリよりも安定している感じです。
以下の動画は、2013年12月末、通算12フライト目で、SHIROさんに動画を、笹目の休日さんに静止画を撮っていただいたものです。
その数日後、minokasagoさんに通算20フライト目の動画(このページのトップに掲載)を撮影していただきました。背面ホバはまだ落ち込みますが、上空旋回飛行は少し、慣れてきました。
last update: 2014.01.01