モデル名 |
S.R.B クオーク |
製造/販売 |
ヒロボー |
操縦系統 |
エルロン、エレベーター、ラダー、モーターコントロール |
ローター径 |
355mm |
機 長 |
350mm |
飛行重量 |
170 g |
動力ユニット |
ブラシレスアウトランナーメインモーター |
RC装置 |
SRB制御ユニット(受信機、ジャイロ、ESC一体モジュール) |
固定ピッチ、シングルローターの電動RCヘリです。メーカーによりますと飛行時間は約10分、風速3m/sまでの屋外での飛行が可能とのことです。
メインローターブレードとテールローターブレードは発泡スチロール製、スタビライザーは樹脂製で安全性に配慮されています。プロポレスキットには、完成機体、リポバッテリー、充電器、ACアダプター、予備メインブレード4セット、予備テールブレード4セット、ブレードバランサー、プラスドライバー、マイナスドライバー、0.89mm六角レンチ、1.5mm六角レンチ、デカール、取扱説明書が含まれます。
キャビンを取り付けた状態でバッテリーの脱着、コネクタの脱着、電源のオンオフ、スタートスイッチのオンができるように設計されています。電源をオフするには電源スイッチを1秒以上押します。確認の電子音が出ますので、確実に電源オフできます。
筆者は2008年2月上旬、チャンプ秋葉原店で購入しました。バンドは40MHz83バンドです。帰宅後、早速取り扱い説明書を読んでみます。この機体は完全完成で、組み立ては必要ありません。キャビンにデカールを貼るだけです。
まず飛行のための準備に入ります。メインローターを外し、付属のバランサーでバランスを取ります。軽い方のローターにヒンジテープを貼ります。このとき、やや長めにテープを切り、端だけ軽くブレードに張り、少しずつテープを切ってバランスを見ます。バランスが取れたら、テープ全面を貼り付けます。また片側のローターの端を黒のマーカーでマークしました(トラッキングを見やすくするため)。
次に手持ちの送信機(JR PCM9X)の設定です。システム設定モードでモジュレーションを「PPM」に、モデルタイプを「Heli」に、スワッシュタイプを「1 servo」に設定します。モデルネームは「SRBQuark」にしました。
次は機体側の設定。SRB制御ユニットのディップスイッチで送信機メーカーをJRに設定します。
充電したバッテリーを機体に取り付け、バッテリーコネクタをカチッと音がするまで差し込み、送信機→制御ユニットの順に電源を入れます。エルロンスティックとエレベータースティックを動かしてスワッシュの動作方向を確認します。OKです。またサーボのニュートラルを確認、調整します。わずかのずれでしたので、送信機のサブトリムで調整しました。
ここでトラッキングを見ます。スキッドを手で持ち、電源スイッチを押します。エンコンスティックが最スローになっていることを確認し、スタートスイッチを押します。
メインモーターに手が触れないように注意しながらエンコンスティックをゆっくり上げるとローターが回転を始めます。エンコンスティックを50〜60%にし、ローター回転面を横から見て、ブレードのトラッキングを見ます。3mmほどずれていたので、説明書にしたがってロッドを180度回転させたところ、トラッキングがピタッと合いました。ここでエルロン、エレベーター、ラダーの動作もチェックします。手に持った状態でスティックを操作し、機体の動きを手で感じ取ります。OKです。ここで小休止。いったんバッテリーコネクタを外します。
いよいよホバリングです。リビングの2m×2mのスペースの中央に機体を置き、送信機の電源を入れてから機体の電源スイッチを押します。数秒でジャイロが位置を検出します。スタートスイッチを押します。エンコンスティックを少しずつ上げていくと、機体は横に流れることもなくスッとホバリングに入りました。トリムもほぼ合っていて、非常に安定しています。
ただわずかにラダー右方向に回転するので、いったん着陸させ、制御ユニットのラダーニュートラル調整トリマーRUD NTをわずかに左に回します(送信機側のトリム、サブトリムは使用しません)。
再度ホバしてみると、ほぼ回転は止まりました。これで調整は終了です。
余談ですが、XRB-SRはきちんと調整すれば非常に安定してホバリングします。しかし調整はけっこう面倒です。ブレード交換の際には2組のブレードのバランスを取り、トラッキングを合わせなければなりません。ラダーのニュートラルを取るためには送信機のトリムが使用できず、Aブレードのピッチ角を調整しなければなりません。また2個のモーターが同じパワーを出せないと安定してホバできません。
この点では、むしろシングルローターのSRBクオーク の方が箱から出してすぐに安定してホバリングできる状態で、調整箇所も少なく、手間がかかりません。
購入した翌日、体育館でフライトしてみました。まずホバリングですが、非常に安定しています。エルロン、エレベーター方向はXRBの方が安定していますが、エンコンのレスポンスはSRBの方がよい感じです。XRBではエンコンを上げたときの上昇はゆっくりで、エンコンを下げた時の沈みが速いのですが、SRBはエンコンを下げたときの沈み込みが少なく、高度維持がやりやすく感じます。また、テールローターが回転して機能していると、やはりへりを飛ばしている、という感じがしてきます。全体の音も、XRBより静かに感じます。
アイレベルのホバリングに慣れたところで機首を右に向け、わずかにエレベーターダウンで前進飛行させ、高度3〜4m、左右10〜12mで水平8の字飛行をしてみました。速度はあまり出さず、旋回はラダーで行いましたが、旋回時の高度低下はなく、スムースに飛行を継続できました。
ただ体育館内でも空気の流れがあるようで、大きく高度を下げることが数回ありました。室内でも風には注意が必要です。
小型軽量のため、やはり風には流されやすいので、屋外でのフライトは、最初は風のない早朝などに行った方がよいと思います。ヒロボー社によると最大3m/sの風でフライト可能とのことですが、風はしばしば息をつき、安定しないので、操縦はけっこう大変です。特にホバリング中に風が吹くとヘリは上昇します。このとき、すぐにスロットルを下げないと、あっというまにヘリが高く上がって小さくなり、方向を見失って墜落させたり、紛失したりしてしまいます。
また、屋外でのフライトでは、できるだけパイロットは風に正対し、自分よりも風下に機体が流されないように飛ばした方が安全です。ほとんど風がないと思える状況でも、屋外では意外と風は吹くので、送信機アンテナの先端に軽い毛糸を20〜30cmほど取り付け、フライト前には必ず風向きを確認し、機首を風上に向けた状態で離陸させるようにします。
工場出荷状態では安定重視のため、舵の効きが控えめで風には弱い設定になっています。以下の変更により、舵の効きを強くしたり、スタビライザーの効果を弱めることができ、操縦性は向上しますが、その分、自立安定性は減少しますので、操縦はむずかしくなります。
(1)エルロン、エレベーター舵角切り替え(制御ユニットのDIPスイッチ4)
(2)ウォッシュアウトレバーの穴位置変更
(3)スタビライザーの穴位置変更
(4)シーソーレバーの穴位置変更
筆者は(1)と(3)を変更して屋外フライトをしてみましたが、3m/sの風が吹くと、やはり機体が流されやすくなり、操縦はむずかしくなります。屋外用の400クラス電動ヘリに比べるとはるかに小さく、軽い機体ですので、風のあるときにはフライトしない方が安全です。目安として、木の葉がゆれるぐらいの風の場合は慎重にフライトし、ホバリングがむずかしいと感じたらすぐ飛行を中止してください。
前述のようにメーカーによるとフライト時間は約10分とのことですが、リポは過放電、過充電に弱いので、筆者は飛行時間を8分〜8分30秒にしています(送信機のダウンカウントタイマーを使って飛行時間を確認しています)。
いったん調整が取れれば、おなじセッティングで安定して飛行できますが、ただ一点、ラダーニュートラルはずれやすく、調整が必要です。ラダーにクセが出た場合、送信機のトリムやサブトリムで調整せずに、必ず制御ユニットのトリマーRUD NTで調整します。この調整は微妙ですが、慣れれば簡単に調整することができるようになります。
室内でのフライトの場合、たまに壁や家具に接触してしまうことがあります。こういうときは、メインローターのチェックが必要です。一見、壊れていないようでも、わずかにしわがよったりしているときは交換します。また屋外でフライトする場合、固いコンクリートや草地で離着陸させると、テールローターの先端を傷めやすくなります。1m×1m程度のビニールシートなどでヘリポートを作るとよいかもしれません。
10〜20フライトしてみて、以前よりもローターがなめらかに回らない、回転音がなんとなくうるさくなった、テールがふれるなどの挙動が出た場合は、メインブレートとテールブレードを交換すると改善されることがあります。発泡スチロールのローターは飛行を重ねると疲労による強度低下があるようですので、クラッシュしなくても、ブレードは一定時間フライトしたら交換した方がよいでしょう。
メインブレードを交換する際には、付属のバランサーで必ずバランスを取り、トラッキングを確認します。セロハンテープを1〜2cm翼端に貼ればバランスが取れるようです。テールブレードも、付属の0.89mmレンチを使ってバランスを確認します。
22フライト目のホバリング中、テールローターがわずかに左に傾いているような気がしました。着陸させてチェックしてみたところ、テールケースとパイプにわずかにガタがあります。テールフィンを外し、テールケースのビスを増し締めしたところ、しっかり固定できました。念のためメインシャーシ側のビスもすべて増し締めしました。飛行中の振動で緩んだようです。これらの小さいビスにはキット付属のプラスドライバーがぴったり合います。こんなところにも配慮が行き届いているキットです。なお、これらのビスは受け側が合成樹脂ですので、あまり強く締めるとネジ穴がバカになります。適度な力で締めるようにします。
最近よく見かけるトイラジヘリや、外国製の安価なフルセットヘリに比べると割高な感じがするかも知れません。しかし、品質、性能、耐久性、デザイン、補修パーツの入手性、アフターサービスを考えると決して高くはないと思います。
2年前にXRBを飛ばしたときにも感激しましたが、このSRBも大変よい機体です。特に安全にはかなりの配慮がなされ、また付属の充電器やツール、取り扱い説明書も配慮が行き届いています。ヒロボー社には再び感謝の拍手を送りたいと思います。
2010年4月には、可変ピッチのSRBクオークSGが発売されました。操縦は本機よりもむずかしくなりますが、本機よりも風には強く、ロールやループ、背面ホバが可能です。
関連ページ:SRBクオークSG
関連リンク:
・SRBクオーク
(ヒロボー社のサイト)
・RCチャンプ
last updated: 2010.04.03