fly with the wind


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RCグライダー&電動グライダー

バッテリーのノウハウ


概 要:

 RCグライダー、電動グライダー、電動飛行機、電動ヘリをこれから始めようと考えておられるビギナーの方を対象に、受信機用バッテリーと動力用に使用するリチウムポリマー(リポ)電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池の扱い方について述べています。

 筆者はニッカドを1974年から受信機電源として使用し、また1990年から電動グライダーの動力用として使用してきました。ニッケル水素はその数年後から、またリポは2005年1月から使用しています。主にその体験から述べていますが、他の資料、アメリカの掲示板RC-Groupsなどに掲載されている情報も紹介しています。

 最近は急速にリポが普及しており、環境問題からニッカドは用いられなくなっていますので、以下の記述には現在ではあまり役に立たない部分もありますが、記録として残しておきます。

 もし記述に誤りがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。sakazaki(アットマーク)ari.bekkoame.ne.jp宛メールをお送りください。


目 次(このページ内のアンカーへのリンクです)

1.受信機 用バッテリー編

1.1.消費電流の増大
1.2.バッテリーパック製作上の注意点
1.3.保守管理
1.4.リポを受信機用に使う

2.動力用バッテリー編

2.1.充電
2.2.モーター持続時間の求め方
2.3.バッテリーはメンテが大切
2.4.バッテリーパックのそろえ方


1.受信機 用バッテリー編

1.1.消費電流の増大

 最近のRCグライダーは左右のエルロンにそれぞれサーボを積み、フラップ装備の機体の場合にはフラップにもそれぞれサーボを搭載することが一般的となってきました。このため4サーボから6サーボ仕様が標準となりつつあり、さらにデジタルサーボの登場によって消費電流は増加傾向にあります。

 消費電流の増大は単にバッテリーの使用時間が短くなるだけではなく、バッテリーの電圧降下の問題を引き起こします。つまり、瞬間的に大電流が流れるとバッテリーの電圧が急激に低下し、場合によってはノーコンとなることも考えられます(特に冬場で気温が低下したしたときに注意が必要です)。

 大電流での電圧降下が少ないのはサンヨーのニッカド電池(Ni-Cd)の「R」セル(赤いパッケージ)です。「R」とはもともと急速充電対応の電池ですが、内部抵抗が低いため大電流放電にも適しています。500AR、800AR、1400SCR、1700SCRなどがありますが、入手はしにくいようです。これらのセルはサーボ数の多い機体の受信機 用として最適です。しかし環境汚染の点からニッカド電池は姿を消しつつあり、かわってニッケル水素電池(Ni-MH)リチウムイオン電池(Li-ion)、リチウムポリマー電池(Li-poly, Li-po)が普及してきました。

 ニッケル水素電池は同サイズのニッカド電池よりも公称容量が大きく、一見有利に思えますが、充放電特性と大電流放電時の電圧降下の点でニッカドと特性が異なり、扱いには注意が必要です。一般的にニッカド電池やニッケル水素電池はセル径が細くなるほど、サイズが小さくなるほど内部抵抗が高くなり、大電流に耐えなくなります(発熱が大きくなります)。小型の電池はパソコンなどの消費電流が小さい機器には適していても、瞬間的に数アンペア流れるラジコンの場合には公称容量ぶん使えるとは限りません。

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1.2.バッテリーパック製作上の注意点

 無線機メーカー純正のバッテリーパックを使用するのが安心ですが、機体によっては自作する必要もでてきます。しかしこの場合に単4乾電池互換、単3乾電池互換のセルをハンダ付けして組むのはお薦めできません。メーカーによってはプラス極の内部がデリケートで、ハンダゴテで加熱すると内部を壊すことがあります。できるだけ金属タブ付きのセルを組むことをお薦めします。

 またリード線はハンダを吸った状態では折れやすくなり、断線することがありますので、ハンダ付けした箇所に力がかからないようにリード線をセルに添わせて固定しておく必要があります。

 なおサンヨーのAR、SCRタイプのニッカドは3C程度の急速充電が可能です。しかし一般に受信機用に用いられているケーブルは細いので充電電流は最大1Aが限度です。1A以上の電流で充電したい場合は電動カーや電動プレーンの動力バッテリーに使用する太めのコード/コネクタを取り付け、アダプタ(変換コネクタ)を介して受信機に供給するか、あるいは受信機へ接続するケーブル/コネクタと充電用ケーブル(大電流に耐える太いもの)/コネクタを別に取り付けるようにします。

各種受信機用ニッカドパック
rx batteries
 上から単3アルカリ乾電池、50mAh(自作)、250mAh(フタバ純正)、500mAh(自作)ニッカドパック(いずれも4セル)

【単3互換充電池を使う】
 プロポメーカーからは単3乾電池4本用の受信機電池ボックスが発売されています。これを利用すれば、単3互換のニッカド電池あるいはニッケル水素電池を(ハンダ付けせずに)使用することができます。最近はこのタイプの充電池と充電器がカメラ店、家電店で販売されていますので入手は容易です。3時間程度の急速充電器もあります。しかし電池ボックスにバラセルを入れた場合は接点が増えるため、わずかな接触不良でも大電流時にトラブルが起こる可能性があります。ネジでボックスを締め付けるタイプであれば接点の接触不良はある程度避けられますが、やはりハンダ付けしたバッテリーパックの使用をお薦めします。

 同じ理由から送信機に乾電池のかわりに単3互換のニッカド電池やニッケル水素電池のバラセルを使用することもあまりお薦めできません。送信機用には通常8本必要ですから接点はさらに増え、接触不良のトラブルが発生しやすくなります。夏場は問題なくても、冬場に気温が低下するとトラブルが起こることもあります。送信機には、メーカー製の送信機用ニッカドパックまたはニッケル水素パックを使用するのが安全です。

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1.3.保守管理

 ニッカド電池やニッケル水素電池には「メモリー効果」と呼ばれる現象があり、使い切らずに継ぎ足し充電をすると容量が低下します。このメモリー効果を解消し容量を維持するには定期的に充放電サイクルを数回行うとよいようです。また1ヶ月以上使用しなかった場合にも、充放電を数回繰り返すと、もとの容量に回復するようです。

・長時間充電(標準充電)

 受信機用パックは0.1C(Cは公称容量)で12〜15時間の充電が基本です。ニッカド電池は0.1Cであれば多少過充電しても問題ありません(といっても24時間以内)。しかしニッケル水素電池は0.1Cでも過充電すると発熱が大きくなりますので、満充電後は充電を停止しなければなりません。

・急速充電

 ほとんどのニッカド電池は1Cの急速充電には耐えるようです。またサンヨーの「R」タイプは3C前後の急速充電が可能です。しかし受信機用パックでは最大1Aとした方が安全です。1A以内とするのはリード線が細いためです。

 ニッケル水素電池の中には1Cの急速充電に耐えるものがありますが、過充電には弱いのでニッカドよりも慎重に扱う必要があります。2C充電でも問題ない、という人もいますが、安全と寿命を考えれば1Cに留めた方がよいでしょう。

 急速充電器の中には自動的に充電電流を調整するものもあり、充放電を繰り返すように設定できるものもあります。また最近ではニッケル水素やリチウム・イオン電池対応の製品も出ています。しかしニッケル水素電池には急速充電に向かないものもありますので注意が必要です。

 急速充電に向かない電池に対して無理に急速充電を繰り返すと、公称容量が得られない、寿命が極端に短くなる、発熱により使用不能になるなどのトラブルが生じることがあります。

 充電器の中には充電量を表示するものがあります。バッテリーのコンディションを確認する上で便利ですが、この充電量はあくまで充電器がバッテリーに送り込んだ電力を示していることに注意して下さい。このすべてがバッテリーから取り出せる電力とはなりません。充電量の一部はバッテリーの発熱などで消費されるからです。ニッカドの場合、実際にバッテリーに蓄積されるのは充電量の約80%で、気温やバッテリーの状態によってはさらに少なくなります。

・保 管:

 保存する場合、ニッカドの場合は放電電流1Cでセルあたり0.8〜1ボルトまで放電します。ニッケル水素電池は過放電すると電圧がゼロになるものがあり、セルあたり1ボルトで止めた方がよいようです。

 しばらく使用しない場合、ニッカド電池は放電して保存し、次回使用直前に満充電します。1ヶ月以上使用しなかった場合は、まず0.1Cで12〜15時間充電してから放電し、次いで1Cの充放電を数回繰り返すと容量が回復します。

 ニッケル水素電池は満充電して保存します。ニッケル水素電池はニッカドよりも自己放電率が高いので放電したままで放置するのはよくありません。一般にニッケル水素電池は1日あたり容量の1%を自己放電するといわれますから、満充電した状態から100日で容量ゼロまで放電することになります。またこの自己放電率は温度が高くなるほど大きくなります。

 なお2005年に発売されたサンヨーの「エネループ eneloop」はニッケル水素電池ですが自己放電率が低く、またメモリー効果もないとのことです。

・リード線の交換

 ニッカドの場合は、しばらく使っているとマイナス側リード線が腐食して黒ずんでボロボロになり、抵抗が増したり断線することがあります。これはセル内部から発生するガスによるものと思われます。ヒシチューブでパックしているとセルの状態がわらかないので、12〜15時間、長時間充電したにもかかわらず充分な容量が得られない場合はパックを開けてセル(粉を吹いていることがあります)とリード線をチェックしてみてください。

・寿 命:

 電池寿命はセルのタイプや個々のバラつきによるため、一概にいえませんが、満充電後に放電してみて、充分な放電量が得られるかどうかで判断します。組電池の場合、ひとつのセルが劣化するだけでも全体の足を引っ張ります。

・公称容量と使用時間

 ニッカドやニッケル水素電池の公称容量は、一般に10時間率で表示されることが多いようです。たとえば公称容量500mAhであれば50mAで10時間放電できる、ということを意味します。しかしラジコンで使用する場合は受信機電源であっても、サーボを動かすとけっこう電流が流れ、2サーボでも瞬間的には1A前後、4〜6サーボでは瞬間的に3A以上流れることがあります。特にデジタルサーボは消費電流が大きくなっています。消費電流が大きくなると、たとえ電池のコンディションが万全で満充電されていたとしても、公称容量分の電力は取り出せません。受信機用電池が何分ぐらい使用できるかは実際に飛行させてみないとわかりませんので、余裕のある容量の電池を搭載し、電池のメンテナンスを適切に行うことが必要です。

 なお、ニッカド、ニッケル水素、リポともに冬場の低温環境では性能が大きく低下します。冬場は機体に搭載したまま放置するとかなり温度が下がります。特に山間部でのスロープソアリングの場合には、飛行直前までポケットに入れておいて温度低下を防ぐ、断熱効果のあるスポンジなどでくるんで機体に搭載するなどの配慮が必要です。またアメリカの掲示板によりますと、リポの場合は乳児用のミルクを保温するボトルを利用して27〜30℃に保温するとよいそうです。

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1.4.リポを受信機用に使う

 リポは大容量で軽量、自己放電が少なくメモリー効果がないため、受信機電源として使いたくなりますが、セルあたり3.7Vがネックです。現在の一般的な受信機とサーボは4.8V〜6V、つまりニッカド、ニッケル水素、乾電池での使用を前提としているのでリポ単セルではサーボの動作が遅くなったり、受信感度が低下することがあります。(一部アメリカの2.4GHzシステムやパークプレーン、室内機用の小型受信機、サブマイクロサーボには3.7Vで使用できるものもあります)。

 リポを4.8V対応受信機・サーボに使うには、降圧レギュレーターを使用して2セル7.4Vパックを使用する方法、昇圧レギュレーターを用いて3.7V単セルを使用する方法があります。

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2.動力用バッテリー編

2.1.充電

2.1.1 リチウムポリマー電池

 リチウムポリマー電池(以下リポ)は最大1Cで充電します。最近は2C〜5C対応のバッテリーと充電器も出てきていますが、一般には1C充電と考えておいた方が安全です。バッテリーによっては1C以上で充電するとパッケージが膨張したり、最悪発火することがあるそうです。このためガラス容器に入れて充電する人もいます。

 いずれにせよリポは金属ケースに入っておらず、デリケートな電池ですので、充電中はその場を離れずに監視する必要があります。

 アメリカの掲示板には、寿命を延ばし、セルのばらつきを抑えるためには0.7C充電が望ましいという記事がありました。なお1C充電ということは単純計算すれば60分で充電できることになりますが、リポ用充電器の多くは充電電流を1Cに設定しても、満充電に近づくと徐々に電流値を下げていきますので、実際の充電時間は70〜80分となります。

 リポの充電は電圧で制御します。セルあたり4.2Vになったら満充電で、充電を停止します。単セルなら問題はないのですが、2〜3セルになると問題が起こります。それはセルにバラつきがあるからです。たとえば2セルの場合、充電器は8.4Vになったところで充電を停止します。このとき、2つのセルの特性がそろっていていずれも4.2Vなら問題はありません。しかし一方が4.18V、もうひとつが4.22Vなら後者は過充電となります。

 この問題を解決するために、直列パックでも個々のセルの電圧をチェックできるように端子を出し、バランサーを接続して個々のセルの電圧を監視できるようにした製品があり、充電器側も個々のセルの電圧を監視して充電する製品もあります。

 アメリカのRC掲示板によると、大電流で使用する場合はセルバランスが崩れやすいのでバランサーを使った方がよいとのことです。また3セルを重ねたパックの場合、真ん中のセルは上下を他のセルにはさまれて放熱が妨げられるので外側の2セルに対して特性が変わりやすいとのことです。

 逆にいえば、2セル以下あるいは低消費電流で使用する場合はセルバランスの崩れは少ない、といえそうです。

 では、バランスの崩れ(セルの電圧差)はどれぐらまで許容できるのか、ということですが、サンダーパワー社は30mVとしています。

 サンダーパワーThunder Power 3S910(バランスチェック端子付き)を消費電流4〜7Aで22フライト使用した後、同社のセルバランサー TP-205V(下画像)を入手し、チェックしてみましたが、問題となるようなアンバランス(電圧差30mV以上)はありませんでした。しかしHyperion LiteStorm MVX 3S2000を電動ヘリで16A前後で2回使用した後に充電し、チェックしたところ、アンバランスが検出されました。そこで0.5Aでいったん放電した後、0.25Aで充電したところ、アンバランスは解消されました。サンダーパワーでは30mV~200mVのアンバランスが生じたときはまず0.3Aで充電し、アンバランスが解消したら0.5Cで充電するように指示しています。

 またセルごとに放電できるバランサーも各社から発売されており、自動的に電圧を揃えることもできます。ただし、筆者の経験では、いったん大きくバランスが崩れたパックは、バランサーで放電して電圧を揃えても、充電時あるいはフライト時に再び大きくバランスを崩し、パワーが出なかったりフライト時間が短くなることがありました。バランサーはあくまでチェックのために使用するものと考えた方がよいと思います。

 リポ充電の際には、以下の設定を間違えないように注意する必要があります。

(1)セル数は正しく設定されているか?
(2)充電電流は1C以内か?

 なお、アメリカの掲示板にリポの寿命は製造後3年という記事がありました。メーカーによってはパックに製造年月日が記載されているものもあります。たとえばサンダーパワーThunder Powerのパックには、アメリカ式に月、日、年(MM-DD-YY)で表記されています。12-14-04なら「2004年12月14日」となります。

・リポの慣らし

 サンダーパワーを扱っているK&S社では、最初の3〜4フライトを3〜5Cで放電する慣らし放電を推奨しています。たとえば2000mAhパックなら、最初の数フライトを6〜10Aで放電するということになります。大容量パックの場合は、大電流放電がむずかしくなりますが、1Cでもよいので、とにかく、数回、充放電を行った方がよいようです。筆者は、あるパックを慣らしをせずに電動ヘリで使い、約20フライトでダメにしたことがあります。その後は、必ず慣らしを行うようにしています。

2.1.2 ニッカド電池

 動力用ニッカドバッテリーは急速充電する必要があります。充電電流値の目安は公称容量(C)の2〜3倍(2C〜3C)です。たとえば2000mAhのバッテリーの場合は4〜6Aとなります(大出力を求める競技の場合はもっと大電流を流す場合もありますが、セルを選別してパックを作る必要があり、バッテリーの管理もむずかしいため一般にはお薦めできません)。

 ただし、これはサンヨー製の急速充電対応タイプのセル(末尾に「R」の付く500AR、800AR、1250SCR、1700SCRおよびRC2000など)の場合で、他のタイプ(サンヨーのAE、AALなど、およびサンヨー以外のメーカー)のニッカドでは発熱が大きくなるので1C以下で充電した方が安全です。

 満充電のめやすは、ほんのり「人肌」程度に暖まってきたときです。これを超えて熱く感じるぐらいですと過充電で危険です。夏場で気温が30℃を超えるような場合は発熱が大きくなりますので、戸外で急速充電するときは必ず充電器とバッテリーを日陰に置くこと、できればファンで冷却しながら充電することをお薦めします。

ニッカド電池の充電/放電電流のめやす

セルタイプ*1

最大充電電流*2
(A)

最大放電電流*3
(A)

500AR

3.0

30

600AE

2.5

20

800AR

2.0

35

1200SCR

5.0

75

1700SCRC

5.0

75


*1:いずれもサンヨーのセル(ニッカド)の場合です。名称が似ていても他メーカーのセルは大電流には耐えません。
*2:12V鉛バッテリーあるいは12V安定化電源から充電する場合、7セル以上の充電には充電器に昇圧機能が必要です。電動RCカー用の充電器(6セル対応)では7セル以上の高容量ニッカドが満充電できないことがあります。
*3:7セルで30Aを超える放電ではセルが発熱し、急速に電圧降下を起こします。1分以上の連続使用(モーターの連続回転)は危険です。またモーター、コントローラーも発熱します。ベンチテストは10秒以内に止めてください。
 10セル〜30セルで50Aを超える放電はさらに危険で、連続使用時間は30秒以下に抑えるべきです。コントローラーによっては30秒以上経つと自動的にシャットダウンすることもあります。ベンチテストは数秒に止めてください。

2.2.3. ニッケル水素(NiMH)電池

 ニッケル水素電池はニッカドよりもデリケートなようで、一般には1C充電が推奨されますが、2C充電でも問題ない、という人もいます。筆者の経験では、気温が20℃以下であれば、ファンで冷却して2C充電しても問題はないようですが、初めて急速充電する場合にはときおり手で触れてみて、発熱には注意した方がよいでしょう。ほんのり温かい程度(およそ30℃前後)ならよいのですが、触れないほど熱くなるようですと(およそ40℃以上)充電電流が過大ですのですぐに充電を中止し、冷却してから電流値を下げて充電してください。

非接触式温度計 FlashPoint

 ニッケル水素電池やリポ、モーターの温度を簡単に知ることができます。測定するときはなるべく測定対象の表面に近づけます。ただしメタリックで光が反射する表面の場合は正確に測定できないことがあるようですので注意が必要です。

2.2.4. 充電器

 急速充電器は12V鉛バッテリーに接続するタイプが一般的です。またこれらの充電器の多くは12V安定化電源でも使用できます。ただし安定化電源を使用する場合は電流容量は最低でも6A程度、できれば10A以上あった方がよいようです。12Vが得られても電流容量が不十分ですと安定化電源が過度に発熱して焼損する、急速充電器が動作しないなどのトラブルが発生します。

 急速充電器は各種発売されており、使用したいバッテリーパックのセル数に対応していればまず問題なく使用できますが、電動グライダー、電動飛行機用として使いやすいのはハイテック社(Hitec)の充電器です。

 リポ専用の充電器も増えてきており、セル数の設定や充電電流の設定を間違えないように配慮されたもの、あるいはセルごとの電圧をチェックできるもの(この機能を使うにはバッテリーパック側もセルごとに端子が出ている必要があります)などがあり、汎用充電器に比べると安価なものが多いようです。ただ、ラジコンでは送信機や受信機用のニッカド/ニッケル水素電池の急速充電もできると便利なので、汎用充電器なら1台で済ますこととができます。

 今後は電動プレーン、電動グライダーの動力用としてはリポが主流となり、ニッカドは消滅(電池の性能からではなく、カドミウムを含むので環境面から)、ニッケル水素が大電流を消費する競技機/大型機の動力用と送受信機電源として使われる、という時代になるでしょう。

 筆者は現在は以下のチャージャーを使用しています。

・ハイテック・マルチチャージャーX1 touch 200(Hitec Multicharger X1 touch 200)

 リポ1〜6セル対応。バランサー内蔵、バランスコネクタ・アダプタ付属。充電最大200W、放電最大40W。DC電源(11〜18V)専用です。バランス監視機能、保管用充電機能などがあり、リポの管理には非常に便利な充電器です。特に放電能力が40Wと高く、4S2600mAhパックを2.4Aで放電できますので、リポの慣らしに使うこともできます。大型液晶のタッチパネルを採用しており、わかりやすく、操作しやすい充電器です。また充電中の各セルの電圧が数値とグラフでモニターできます。自宅では12V10A安定化電源で使用しています。

・ハイテック・マルチチャージャーX1 ACプラス(Hitec Multicharger X1 AC Plus)

 リポ1〜6セル対応。バランサー内蔵、バランスコネクタ・アダプタ付属。充電最大50W、放電最大5W。AC電源、12V電源が使用できます。バランス監視機能、保管用充電機能などがあり、リポの管理には非常に便利な充電器です。

・サンダーパワー TP-610C (Thunder Power TP-610C)

 リポ1〜6セル対応。バランサー内蔵、バランスコネクタ・アダプタ付属。充電最大80W、放電最大8W。リポは保管用に80%充電することもできます。使いやすい充電器です。自宅では12V10A安定化電源で使用しています。

スワロー・チャージャー (Swallow Charger)

 ニッカド、ニッケル水素最大10セル、リチウムイオン/リチウムポリマー最大3セル対応で、放電機能があり、コンパクトです。現在はマイナーチェンジされています。(発売元:クラフトるうむ)。小型なので、マイクロヘリ用の1〜2セル200〜400mAhリポを現場で急速充電するために使用しています。この時、親電源には450ヘリ用の3セル2000mAhのリポパックを使用しています。自宅では12V10A安定化電源で使用しています。

スマート・チャージャー・プロ・コンテスト (Smart Charger Pro Contest)

 送信機用ニッカドパック、ニッケル水素電池パックの充電に使用。最大充電電流5A、放電機能、長時間充電機能があり、オート・モードでは内蔵マイコンがバッテリーの状態をチェックしながら充電電流を調節して充電していきます。なおこの製品の製造販売は終了しているようです。

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2.2.モーター持続時間の求め方

 モーター持続時間は、クランプ式電流計(直流100Aまで測定できるものがおすすめ)があれば簡単に推定することができます。機体に満充電したバッテリーを搭載し、2〜3秒間モーターを回して電流値を測定します。最初の0.5秒以内はかなりの大電流(突入電流)が流れますが、1秒後には低下して安定します。この安定した電流値をすばやく読みとります。電流値がわかったなら、以下の計算式でモーター持続時間を求めます。

C:公称バッテリー容量(Ah)
I:消費電流(A)
T:モーター持続時間(秒)

T=C÷I×3600


 たとえば2000mAhのバッテリーを30Aで使用したとすると、

2÷30×3600=240

 240秒、つまり4分モーターを回せることになります。実際にはバッテリー容量の80%程度しか取り出せませんが、飛行中は前進速度のためプロペラ負荷が減少して消費電流が低下するために相殺され、上述の計算式で概算できます。

 このようにモーター持続時間が求められたら、これを送信機のタイマーにセットしてモーターランの時間を積算します。消費電流が大きくなる場合(30A以上)は、上記の計算で求めた時間よりも10〜20秒程度短めに設定した方がよいでしょう。最後の10〜20秒は急激にパワーが低下し、モーターが回わっていてもほとんど上昇しなくなります。

 なお受信機電源を動力用バッテリーから取る共用電源方式(BEC)のコントローラーを使用している場合は、上記の計算で求めた時間から200〜300mAh程度の余裕を残さなければなりません。コントローラーのオートカットまで使い切ってしまうと、残量が少なくなり数分で受信機/サーボが動作しなくなることもあります。電動グライダーの場合はサーマルに乗って長時間飛行するケースも想定して余裕を見ておく必要があります。着陸のやり直しのためにモーターを回すことも想定して、多少余力を残しておくと安全です。

 またリチウムポリマー電池は過放電に弱いので、使用時間は少なめに見積もる必要があります。きちんと消費電流を計測し、使用後に放電させて電圧を調べると、適正な使用時間がわかります。その時間を送信機のタイマーにセットしてモーター使用時間を管理します。

 つまり、アンプのオートカットには頼らないということです。これは最初は面倒ですが、慣れればそれほどでもありません。またこの方法を適切に用いれば、「リポ対応」と謳っていない従来型のアンプでも使用できます。ほとんどのリポ対応のアンプは、オートカットの電圧をリポ用にセルあたり3Vに設定できるアンプのことで、それ以外の機能は従来型ニッカド、ニッケル水素用アンプと変わらないようです。逆にリポ対応アンプを使っていても、頻繁にオートカットするまで使用するとバランスを崩して寿命が短くなることもありますので、注意が必要です。

 モーター持続時間を測定するために(機体を飛行させずに)プロペラを装着してモーターを長時間回してはいけません。

 アンプ/スイッチのオンオフ位置の調整、送信機のスイッチ設定などは必ずプロペラを外して行います。

クランプ式電流計 KYORITSU KEWSNAP model 2004

 直流20Aまでは分解能10mA、200Aまでは分解能100mAで測定できます。交流電流および電圧、抵抗も測定可能です。コードをクランプするだけで電流測定できますので大変便利です。サーボ動作時の受信機用バッテリーの消費電流をチェックすることもできます。

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2.3.バッテリーはメンテが大切

 動力用バッテリーはメーカーが推奨する電流値をはるかに超えた大電流を流すため、負担が大きく、適切にメンテナンスをしないと容量抜けなどのトラブルが起こります。しかしあまり神経質になると手間が面倒になりますのでほどほどの配慮でよいでしょう。筆者は以下のような点に注意しています。

(1)使い切らない:

 「モーター持続時間の求め方」に示した方法でモーターがどれくらい回せるかあらかじめ計算しておき、多少の余裕を持たせて使用するようにします。前述のようにリチウムポリマー電池の場合は特に過放電に弱いので注意が必要です。

 電動ヘリの場合、筆者はフライト直後の無負荷電圧がセルあたり3.7Vを下回らないようにしています。3セルパックなら11.2〜11.3Vです。

(2)急速充電は時間をおいて:

 飛行後に再度急速充電する場合はバッテリーを充分冷却する必要があります。発熱した状態で再度充電しても充分な充電量が得られません。一般には飛行後少なくとも30分、できれば1時間は放置してから充電した方がよいようです(それでも充電量は80%以下になってしまいます)。特に夏場は直射日光を避け、ファンで冷却する必要があります。

 なお、リポ(リチウムポリマー電池)の場合は少し暖かい状態(30℃前後)で充電した方がよい、という説もあります。

(3)保管:

 リチウムポリマー電池を長期間保管する場合は、50〜80%の充電量で保管するのがよいといわれています。またセルあたり3.8〜3.85Vの状態で保存するとよい、という説もあります。サンダーパワーのリポを販売しているK&S社では、1週間以上使用しない場合はセルあたり3.8〜3.9Vでの保管を推奨しています。

 ニッカド電池はフライト後は必ず放電しておきます(放電器あるいは充電器の放電機能を使用)。手動で放電する場合は1セルあたり0.7〜0.9ボルトまで放電します。

 ニッケル水素電池は1セルあたり1ボルトまで放電した後、再度充電して保管します。

(4)定期的に長時間充電する:

 ニッカド、ニッケル水素電池は大電流による急速充電を繰り返すと、セルごとに容量のバラつきが出るといわれています。バッテリーを均質化するためには、10回に1回程度、公称容量(C)の10分の1(0.1C)の電流で16〜20時間、充電します。

 たとえば公称容量2000mAhのパックの場合は200mAで16〜20時間充電します。そして充電後、放電して保管します。

 リポの場合も、0.1C程度の電流での長時間充電はアンバランスの解消に効果があるようです。サンダーパワーのバランサーTP-205Vの取説では、アンバランスが0.03〜0.2Vの場合、まず0.3Aで充電してアンバランスを解消してから0.5Cで充電するように指示しています。

【トリクル充電】
 メーカーは 0.1C〜0.3Cで12〜15時間行う充電のことを「標準充電」と呼んでいます。これを「トリクル充電」と呼ぶ場合がありますが、トリクル充電とは、正しくは連続充電であり「蓄電池の自己放電を補うために、負荷から切り離した状態で絶えず微小電流で充電しておくこと」と定義されています。これは、0.02C-0.05Cで行われます。(山下高廣さんからの情報)


(5)動力用は寿命が短い

 大電流での急速充電および大電流(およそ10A以上)での使用はメーカーでは保証していません。バッテリーの寿命も短くなります。

 急にパワーが弱くなった、急速充電時、頻繁に早期カットする、といった場合は、一部のセルが劣化して全体の電圧降下を招いているケースが多いようです。この場合そのセルだけ異常に発熱するので触ってみるとわかります。この劣化したセルだけ取り替えればよいのですが、そのセルだけが新品だと他のセルと特性が揃わず、好ましくありません。組電池は全体でひとつと考えるべきでしょう。

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2.4.バッテリーパックのそろえ方

 電動グライダーも数が増えてくると、動力用バッテリーパックも増えてきます。このこと自体はそれほど問題はないのですが、機体ごとに特殊な形状のパックが必要になるとバッテリーパックの種類が増えてしまい、管理もめんどうで効率的ではありません。モータータイプが同じ機体では、ある程度バッテリーパックを共用できるようにした方が経済的です。

 ニッカド、ニッケル水素の場合は6、7、8、10、12セルと選択肢が多いのが悩みの種でしたが、今後リチウムポリマーの時代になれば、通常は2〜5セルのいずれかになるので、あまり迷うことはなくなります。

 リポは急速に進歩してきており、2011年7月現在、連続60C、バースト(短時間)であれば120C放電可能と謳っているタイプもありますが、一般的には20〜30C放電が限界と考えた方がよいようです。動力用としては放電能力に余裕があった方がよく、使用する動力ユニットの消費電流ギリギリではなく、余裕を持った電池を使用するべきです。これはモーター/アンプによっては起動時や夏場の気温の高いとき大電流が流れ、バッテリーに過大な電流が流れることがあるからです。

 またバッテリーメーカーは多少大目に最大放電電流を表示する傾向があるといわれ、3C分はマイナスした方がよい、という説もあります。つまり「最大20C放電可能」と表示されている場合、17Cとして扱った方がよい、ということです。筆者はニッカドの経験から、できれば最大実使用電流の1.5倍以上の放電能力のあるバッテリーを使用するのがパワーと寿命の点から適切と考えています。

 いずれにせよ、バッテリーはメーカーやタイプによって特性が異なり、単に容量や放電能力、価格だけで選ぶと後で後悔することもでてきます。特にリポは急速に発達しているため、信頼できる販売店で購入する、常に最新情報に注意する、できればユーザーの使用感を聞くなどの配慮が必要です。

■コネクタ

 筆者は現在、電動プレーン、電動ヘリの動力用として容量360〜3700mAhのリポ2〜4セルパックを使用しています。消費電流に応じて、以下のコネクターを使っています。

BEC(JST)消費電流10Aまでの機体。MiniIFO、Frenzeeなど、Blade 130Xなど。

ディーンズ・ウルトラ Deans Ultra:いわゆる「T型コネクタ」。消費電流10〜20Aの200クラス電動ヘリ、電動プレーンに使用。なお、Deans社純正品以外の同タイプのコネクタも出回っていますが、接触不良が起こったり、取り外しにくかったりすることがありますので注意が必要です。

・XT-60:3mmゴールドコネクタにハーネスを取り付けたタイプ。20〜40Aの電動プレーン、450クラス電動ヘリ、電動ボートに使用しています。ディーンズ・ウルトラよりもハーネスの樹脂の耐熱性が高くハンダづけがしやすく、接続時にスパークすることもありません。ただし、ハーネスがディーンズ・ウルトラよりも大きいので、バッテリー搭載スペースが狭い場合は注意が必要です。2010年から使用しています。また、HobbyKingが販売している1000〜2000mAhのバッテリーパックには、このコネクタが装着済みですので、コネクタを取り付ける手間が省けます。

4mmゴールドコネクタ:500クラスの電動ヘリ。保管時にはショート防止のためにオス側には内径3mmのシリコンチューブを、メス側には内径4mmのシリコンチューブを2〜4cmにカットしてかぶせています。使用するバッテリーのケーブルによっては、赤い樹脂製ハーネスを使うこともできます。

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last updated: 2015.05.01



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