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2003年3月
山野辺 暁彦
※このページは『ヴァージナル通信no.17』のテキスト部分を転載したものです。図および地図は省略しています。
∬ 1 Something New
1 音楽の隠れ家第5回
隠れ家のワークショップ第5回併設
1月19日
午後2時30分より、クラヴィコード 大塚直哉氏
午後4時ごろから、ワークショップ(グループレッスン)
詳細下記案内を参照ください。
また、午後1時からはチェンバロの生徒の発表会があります。
2 Clavichord glossary 第一版
クラヴィコードに関する用語(英語)について解説したものです。御希望の方には、こちらから直接お送り致します。
送料込み110円 切手可(ただし、美しいものに限る ?! )
クラヴィコードについての英文の本、論文、あるいは製作マニュアルを読む方に、役立つよう作りました。 クラヴィコードの各部分のほとんどの名称や、製作に使用する工具等の名称について説明しています。内容についてお気付きの点がありましたら、御一報下さいます様お願いします。次の改版時に盛り込みます。
3 typeII クラヴィコードについて
typeIIクラヴィコードについて、新たに追加した点を含めて、∬5Hubertgasse (フーベルトガッセ) にまとめます。最近2台について施した、漆塗りについても述べます。英文の部分はマニャーノへ提出したものです。1月19日の音楽の隠れ家では、漆塗りモデルが使用されます。
また、オプションとして、typeII 専用スタンド、およびキャリングケースを製作しました。
∬ 2 貸し出し楽器
現在、貸し出し可能な楽器、貸し出し予定の楽器は次のとおりです。
1 Double fretted clavichord 18th century German model
typeI C ~ f3
8800円/月
2003 no5 typeII
C ~ g3 新デザインケースワーク 9月ごろ
13000円/月
typeII 専用マホガニースタンド
1500円/月
typeII 専用 (トートバッグ風) キャリングバッグ
2 Unfretted clavichord a = 392 Hz
GG - f3
9500円/月
3 Chamber organ 8' 4' mixture(2' + quint ) C ~ d3 with feeder bellows by foot, 86kg
4 Chest organ 8' 4' (treble) C - d3 with feeder bellow by foot 夏
本体とフイゴは別匡体となり、空気を多く溜められる様になります。
5 トランク形ポータブルリードオルガン
9500円/月
6 Italian virginal BB~d3 (多角形)
yellow cedar case, red cedar soundboard 415-440 シフト可
13000円/月
7 Flemish virginal C ~ c3
8 Italian quint-pitch spinet GG/BB -d3
9 Italian octave spinet (オッタビーノ) C/E -c
10 Cembalo C ~ d3 8 x 1
6500円/月
∬ 3 Books on musical instruments
(楽器についての本)
ここ数年で入手した本です。 自由に閲覧ください。
You can visit my library in Hachiouji . Please feel free to visit.
Ringve Museum Trondheim Utgitt av Ringe Museums Venner
Makers of the Harpsichord and Clavichord Donald Boalch 1956 (first edition)
Clavichorde Hubert Henkel
Early Keyboard Instruments Philip James 1960 reprint of 1930
The clavichord Bernard Brauchli
Kielklaviere Staatliches Institut fuer Musikforschung Preussischer Kulturbesitz
Tasteninstrumente des Museums Staatliches Institut fuer Musikforschung
Catalogue of Early Keyboard Instruments at Fenton House
oude klavecimbels hun bouw en restauratie/ old harpsichords their construction and restoration
Violes, violins and virginals The Hill collection of stringed instruments at the Ashmolean Museum, Oxford
Fabio Colonna La Sanbuca Lincea overo dell'istroment musico perfetto (harpsichord with 31-key octave)
Koen Vermeij The Hubert Clavichord Data Book
Royal College of music Museum of Instruments Catalogue II keyboard Instruments
The Russel Collection of Early Keyboard Instruments 1968
Catalogus Muziekinstrumenten Museum Vleeshuis Antwerpen
Salzburger Klaviere Klaviere im Salzburger Museum Carolino Augusteum
Early keyboard instruments The new Grove musical Instruments series
Harpsichords Clavichords Organs Harmoniums Haags Gemeentemuseum 1989
Oxford companion to musical instruments
A Handbook of Histrical Stringing Practice for Keyboard Instruments 1991
Catalogue of MIM(Musical Instruments Museum) Brussels
The Cambridge Companion to the Organ
The History of English Organ
Three Centuries of Harpsichord Making Frank Hubbard
Hurdy-Gurdy Method Doreen Muskett
Musical Instruments as works of art Victoria and Albert Museum
Syntagma Musicum II De Organographia (English)
Die Botschaft der Musik 1000jahre Musik in Oesterreich
The Royal College of Music Museum of Instruments Catalogue Part I European wood Instruments
Catalogue of Musical Instruments volumeII non keyboard instruments Anthony Baines
De Clavicordio I II III IV Magnano International Centre for Clavichord Studies
∬ 4 Hubertgasse (フーベルトガッセ)
今回は、2003年のイタリアのマニャーノで行われる第6回国際クラヴィコードシンポジウムへ、出展予定の楽器(typeII)について概要を説明しています。その内容は、概ねtypeIIについて、すでに何度か述べたとおりですが、追加された点は主に次の3点です。本文(英文)は別ページにあります。
関連ページ:A large fretted clavichord based on Hubert
1 新キーボードデザイン
クラヴィコードではキーが音に大きく影響し、バイオリン等弦楽器の弓に相当する、と考えられる事を前回述べました。 そのキーに接着されているキートップは当然大きく影響します。楽器を作っていると、キートップを貼る前に、弦を張ってタンジェントを立て、調律し、音が出るようにできますので、キートップを貼る前の音がどんなものか知る機会に恵まれます。キートップを貼ってもその前のニュアンスを残しておく方法の一つに、キートップの tail 側を薄くする、という方法があります。 これはフーベルトが考え出した物か、そのころ一般的になったものか、わかりません。
しかし、フーベルトの良さの一部はこの方式によってつくり出されている様に思います。 ナチュラルキートップはシャープキーの手前の幅の広い部分、これを head を呼びます、とシャープキーの横の幅の狭い部分、これを tail と呼びます、の2つの部分があります。 これらは一枚の板からでも切り出せますが、捨てられる部分が多いので、head と tail に分けて切り出せば、厚さを変える事ができます。 その分、キーボードブランク(キーを切り出す前の板)に段差を付けておく必要があります。2002 no3 よりこの方式となりました。
2 バランスレールの改善
バランスレールはキーボードの一部であり、底板に接着されるが、少なくとも後期のクラヴィコードに於いては、底板と同時にバス側のヒッチピンレールとベリーレールにも、しっかりと接着される事が重要である。
後期のすべての楽器がそうなっているか、確かめたわけではない。 小型の楽器、あるいは初期の楽器では張力が小さい事や、立ち上がりが明瞭な事が際立っている事が重要であり、全体としての重要性は高くないのかもしれない。
3 うるし塗り (年2台程度製作)
18世紀の楽器でチェンバロやクラヴィコードの中に漆塗りのものが数多くあるのを御存じの方も多いでしょう。 おそらく中国の方がヨーロッパで漆を塗ったものと思われますが、絵柄も中国のもので、中国風の建物がよく描かれています。漆塗りはノウハウを多く必要とする上に、下地の仕上げに労力を要し、また、乾燥にも時間がかかるため、素人はなかなかできません。
しかし、国内の多くの地域で伝統的は技術が保たれ、多くの漆器が作られています。このような手間のかかる漆器でも日常何気なく使われている事も多く、漆に限った事ではありませんが、伝統や文化は、普段気がつかないところで多く生きているものですね。厚く塗ると音に影響してしまうので、擦り漆、と呼ばれる下地が透けて見える塗り方とします。
∬ 5 Cafe Himmel
昨年のアントワープでのチェンバロの講習会に参加したJ君は、パリからクラヴィコードを持って、電車でやってきたそうだ。クラヴィコードは、先生が宿で練習できるようにと貸してくれたものだ。比較的大きなクラヴィコードだったが、専用のケースに入れて肩からかついでいた。
その講習会の受講料と宿泊費はベルギー政府が出したので、J君は電車賃だけで、朝から晩まで鍵盤音楽三昧ができた事だろう。 そこの発表会ではDULCKENのオリジナルが使われた。 その楽器にはダンパーが無い。 そこでのコンサートの録音を聞いたが、電気で拡声しているわけではないのに、ハウリングを起こしている。
響きの良いところなので、(ヨーロッパでは響きの悪いところがあまりないのだが)ある音域の音は消える前にまた弾かれると増幅してしまう。 これをくり返すと、ハウリングとなる。 これは、もしCDにしたら、現実に起きていることなのか、電気的にハウリングしているのか、分からないので、売れないことになっている。
CDとして聞いている物は、無難なものだけで、現実に起きている事の、ほんの一部なのかも知れない。 楽器を見に来て下さる方があると、朝からとても楽しみだ。 どんな方がどんな曲を弾いて下さるのかな、と考えてつつ、部屋を片付ける。 もし、チェンバロやクラヴィコードを弾いた事が無い方なら、なるべくやさしい曲を弾かれるとよいと思う。
どんな楽器でも中音域がその楽器の本来の音がするので、その意味でも、まず、やさしい曲を弾くと楽器の特徴が分かりやすい。 低音や高音がでるか、は次のステップだ。 曲と言ったが、よその人が書いた曲を不本意な思いをして弾かなくとも良い。挨拶代わりに、何か適当に、自分の好きな旋律や装飾、和音進行がその楽器でどうなるか、を試すとその楽器が良く分かる。
バッハのイタリア協奏曲やインベンション等の難しい曲を初めての楽器で弾くのは、ちょうど初対面のひとと、カントやヘーゲルの言葉を引用して、挨拶しようとするようなもので、とても難しい事になる。パリのCITE de La Musique で楽器のデモンストレーションの一貫として、テオルボとチェンバロの演奏があった。 ちょうど、とてもモダンな建物にあきて来た時だった。 そのテオルボの方はカプスベルガー等を弾いていたのだ、演奏がとても良かった。
低音から高音まで、テオルボの太い音で、『びびる音』も一切なく、十分豊かな音量で、良くのびる。 このテオルボでダイナミックな音楽が繰り広げられるのを目の当たりにした。 これよりチェンバロはどういう優れた事ができるのだろう、と思い始めた。
ハープ、リュート、ギターに対して、チェンバロは何ができるのか、今年こそ良く考えてみたいものだ。 このテオルボを弾いていた方は、いくつかのアンサンブルで弾いているが、まだ、CDは無いのだそうだ。 なお、楽器は自分の楽器だそうで、とてもよい楽器だ、とも言っていた。通奏低音の勉強をチェンバロやオルガンでなく、ギターで始められないのだろうか。 モダンのクラシックギターなら、安いだろう。あとはチェロがあれば、旋律楽器や歌とバロックアンサンブルが始められる。
〜音楽の隠れ家 第6回〜
プレコンサートとしてチェンバロ学習者の発表会を
午後1時00分より予定しています。どなたでも、お気軽にお出かけ下さい。
スピネット(小型チェンバロ)を使用します。
2003年4月20日(日)
午後2時30分〜3時30分
クラヴィコード 大塚直哉
於 絹ヶ丘一丁目会館 八王子市絹ヶ丘1ー5ー7 下記地図を御覧下さい。
ご一家で500円程度のご支援を賜われれば幸いです。
program
J.S.バッハ J.S.Bach 1685-1750
フランス組曲第一番BWV 812より
他
クラヴィコードは18世紀後半、ドイツのモデルで、共有弦(フレッテッド)の楽器を使用します。
〜隠れ家のワークショップ第6回〜
『スピネット(小型チェンバロ)/クラヴィコードを弾いてみよう』
本コンサート終了後(4時ごろから)は、ワークショップ第6回『スピネット/クラヴィコードを弾いてみよう』となります。 今回はスピネットもぜひ触ってみましょう。 鍵盤楽器の経験のある方も無い方も、気軽にご参加下さい。 鍵盤楽器を弾いた事のある方は、1〜2曲楽譜をお持ち下さい。 例えば、バッハの小品、ソナチネアルバム、プレインベンション、ブルグミュラー等のピアノ教材等より。 鍵盤楽器を弾いた事が無い方は五線紙(自作可)を一枚ご用意下さい。 当日、スピネットかクラヴィコードをお選び下さい。
ワークショップ参加費1000円 (上記コンサート参加費含む)10名程度
***** 絹ヶ丘の春 音楽祭 *****
Vol 1
2003年3月29日(土)
〜バロックアンサンブル〜
於 絹ヶ丘一丁目会館
午後4時30分〜5時30分 日頃、練習している明るいイタリアの曲を中心に、数曲演奏します。 コンサートのような形にはなりませんが、ぜひ、私達音楽愛好家のアンサンブルを聞きにいらして下さい。 長沼公園の桜も満開の頃です。 A カベソン 『婦人の望み』の歌によるディフェレンシアス (16世紀)、 A.ヴィヴァルディ チェロソナタ イ短調、トリオソナタ 『ラ・フォリア』他
小田切弘美 山野辺暁彦 violini、中井真木 viola、河村暁子 小林浩希 celli、
森小百合 三重野清顕 spinetti、 無料 直接会場へお越し下さい。
Vol 2
2003年4月6日(日)
〜調律練習室 第1回〜
於 山野辺宅
午後1時30分〜3時ごろ 以前から、希望の多かった調律の練習会です。 調律未経験の方、初心者の方、どなたでも参加下さい。 地図をご請求下さい。 楽器はヴァージナルとクラヴィコードを使用します。 調律の出来具合いを確認するために、鍵盤をお弾きになる方は楽譜をお持ち下さい。
6名程度 参加費500円 下記へご予約下さい。
Vol 3
2003年4月20日(日)
〜音楽の隠れ家 第6回〜
於 絹ヶ丘一丁目会館
午後1時00分より チェンバロ学習者の発表会を予定しています。スピネット(小型チェンバロ)を使用します。 どなたでも、ぜひお出かけ下さい。
無料 直接会場へお越し下さい。
午後2時30分〜3時30分 クラヴィコードによる メインコンサート 大塚直哉
J.S.バッハ J.S.Bach 1685-1750 フランス組曲第一番BWV 812より 他
ご一家で500円程度 直接会場へお越し下さい。
午後4時から 隠れ家のワークショップ第6回
『スピネット(小型チェンバロ)/クラヴィコードを弾いてみよう』当日スピネットかクラヴィコードを選択下さい。
ワークショップ参加費1000円 (上記コンサート参加費含む)10名程度 ワークショップ受講の方は、下記へご予約下さい。
Vol 4
2003年5月11日(日)
〜ヴィオラ・ダ・ガンバ デュオ〜
於 絹ヶ丘一丁目会館
午後3時00分〜4時30分
ヴィオラ・ダ・ガンバ 千成千徳、山根健一
フランスの雅と. . . . .
曲目未定
500円程度 直接会場へお越し下さい。
その他
大塚直哉 オルガンリサイタル
3月25日(火)午後3時開演、於 新宿文化センター大ホール
L.クープラン ファンタジア、C.フランク 幻想曲ハ長調、J.アラン 幻想曲第1番 他。 \2000
予約、問合せ オフィスアルシュ 03-3952-8788
聖グレゴリオの家 古楽科生徒発表会
3月23日(日)午後2時より
チェンバロ、リュート、ガンバ、アンサンブルの各クラスの発表。 無料。 於 聖グレゴリオの家 (東久留米) 直接会場へお出かけ下さい。
問い合わせ、予約 tel/fax 0426-35-3784 山野辺