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・一段鍵盤モデル:
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16〜17世紀に広くヨーロッパを席巻し、多くの名器を残したRuckers一族の、いわばチェンバロの源流ともいうべきモデルの一つ。力強い低音と光輝な中、高音域はしばしば「銀の鈴」にたとえられます。当工房では、豊富な資料と現存楽器の検討により、大幅な基本設計の変更は極力避け、低音域のみ演奏上の実用性を考慮し、C迄のクロマティクとしています(オリジナルの多くはC/Eのショートオクターブ)。
初期フレミッシュチェンバロの強い個性は、極めて特徴的な装飾様式によって、見る者の目をも楽しませます。手摺りの木版による装飾パターン、響板上の花模様装飾、大理石模様の外装、牛骨張の鍵盤等、外観、材料も可能な限り当時の様式の再現を理想としています。
dimension: 183 cm× 76 cm× 24 cm(本体外寸)
disposition: 8' × 4' Buffstop
compass: C〜c3 49 notes a=415/440 Hz(鍵盤移動機構付)
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1678年の銘のある、スミソニアン博物館蔵(アメリカ)の一台をモデルに低音を一音拡大しました。この楽器の特徴は弦列は8'×4'の二列ですが、ジャック及びレジスターがもう一列加えられ、F8'とB8'の差し替えにより、二種の8'の音色が用意されている点にあります。ルッカースの特徴はそのままに、独奏、通奏低音の表現範囲を持ったモデルです。
dimension: 195 cm× 79 cm× 24 cm
disposition: 8' × 4' (× 8' )Buffstop
compass: HH〜d3 52 notes a=415/440 Hz(鍵盤移動機構付)
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アルベル・ドゥランは、トゥールネ(Tourney、現ベルギー)で活躍した製作家で、彼の楽器の多くは、フレミッシュとしては例外的に4’がなく、8’×8’の弦列を持っています。普通のチェンバロ以外に、ベントサイドスピネット(弦が斜めに張られている小型チェンバロ)、クラヴィツィテリウム(たて型チェンバロ)が多く現存する異色の製作家です。
このモデルの製作にあたっては、クラヴィツィテリウムの図面を基本に、いくつかの資料と実測データの共通仕様を検討、合成し再設計しました。一段チェンバロにして、広く音楽的要求に応えうるモデルです。
dimension: 215 cm× 84 cm× 26 cm
disposition: 8' × 8' Buffstop
compass: AA〜e3 56 notes a=415/440 Hz(鍵盤移動機構付)
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やはりルッカース一族によって多く作られた、最も初期の形態とメカニズムを持つチェンバロの一種。横長の長方形のボディと奏者に平行に張られる弦が外見的特徴で、当時、家庭用の楽器として広く流行しました。オランダの画家フェルメールの絵の中に、おそらくルッカース作のヴァージナルがしばしば描かれ、当時の風俗と合わせて興味深いものです。
dimension: 170 cm× 51 cm× 25 cm
disposition: 8'
compass: C〜c3 49 notes a=415または440 Hz(製作時に固定)
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現存するルッカース銘の二段鍵盤チェンバロのほとんどすべては、真贋はともかく後世の改作により新しい生命を与えられているといえます。
即ち二段鍵盤チェンバロのルーツともいうべきこの楽器のオリジナルな形態は、現在常識的に用いられている、上下の音色を対比させられる二段(コントラストダブル)とは、全く別の機能をもっていたのですが、17世紀後半から18世紀にかけて、音楽的要求によって主にフランスで改造されました。結果としては、初期フレミッシュの響きを残しながらも、機能はフランス後期二段に近いメカニズムを持つ非常に魅力的な楽器に生まれかわっています。
現代のメーカーが多く手がける、後期フレンチ二段(タスカン、エムシュ等)の原型としても重要なモデルです。
dimension: 225 cm× 83 cm× 26.5cm
disposition: 8' × 8' × 4' Buffstop
compass: AA〜d3 54 notes a=415/440 Hz(鍵盤移動機構付き)
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二世紀余に渡るフレミッシュチェンバロの歴史の最後期に完成された、最大のチェンバロの一つ。同時代のフランスの二段楽器と比較すれば、音域、弦列は同じながら全長は20 cm〜30 cm 長くなっています。
またドゥルケンの楽器に多く見られる特徴のひとつに、上鍵盤に備えられた、リュートストップ(ナザールストップともいう)と呼ばれる、ピンブロックを分割して配列されるレジスターがあり、独特のハナにかかった音色を出すことが出来ます。演奏上、頻繁に使用されるべきものではありませんが、この時代の楽器の持つ特殊な方向の一つとして受け止め、リュートストップ付きの楽器と無いものを用意しました。
ドゥルケンの楽器は、外見からは解りにくい構造上の特徴を持っており、解釈に頭を悩ます部分もあるのですが、多くの可能性を秘めた楽器として、製作態度の中で自分なりに咀嚼し、正しくその工法を受けつぐよう努力していきたいと考えています。
dimension:
260 cm × 90 cm × 27 cm(リュート付)
255 cm × 90 cm × 27 cm(リュート無)
disposition: 8' × 8' × 4' Buffstop
compass: FF〜f3 61 notes a=415または440 Hz(鍵盤移動機構付き)
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17世紀に隆盛の頂点を迎えたルッカースチェンバロは、イギリス、フランス等北ヨーロッパに多大な影響を与え、各国独自の発展を見せる事になります。とりわけフランスに於けるルッカースの評価は極めて高く、時代的には一昔前のものになりつつあったこのチェンバロを、音楽様式に対応させる為に拡張、改造する事が当時パリのクラヴサン・アトリエの重要な仕事の一つとなっていました。
作業の規模とレベルはさまざまですが、主要な方法としてはボディはそのまま残し、鍵盤を入れ替えて弦列を加えるプティ・ラヴァルマン(小改造)。そしてボディの一部分までつぎ足して音域を拡張する大規模なグラン・ラヴァルマン(大改造)があります。例外的ですが、ルッカースの響板のみを使用した例や、ルッカースの痕跡がほとんど解らないもの、そして完全な贋作まで発見されるに至って、当時の狂信的なルッカース信仰がうかがわれます。
チェンバロは音域の設定が、楽器の規模やキャラクターに重要な影響を与える為、製作者としてはフレミッシュ本来の輝きと力強さを失わないように、モデルの選定は慎重に臨み、注文者との密なコミュニケーションを前提として製作にあたりたいと思います。
dimension: 228 cm × 87 cm × 26.5 cm
disposition: 8' × 8' × 4' Buffstop
compass: GG〜e3 (FF〜f3) a=415または440 Hz(鍵盤移動機構付き)
ルッカース/クーシェに代表されるフレミッシュ・チェンバロは、やがてフランスで大変、珍重されるようになります。初期フレンチ・チェンバロは、フレミッシュを受け継ぐところから 始まったといっても過言ではありません。このため、当工房では、フレンチ・チェンバロの製作も承っております。
・ヴォドリ 二段鍵盤モデル
Early French double manual harpsichord after Vaudry
compass: AA〜d3、220 cm
・ブランシェ 二段鍵盤モデル
French double manual harpsichord after Blanchet
commpas: FF〜f3、230 cm
外装色はご希望による色調にて、手塗りで仕上げています。特注による外装仕上げ、響板花装飾、彫刻脚部、専用椅子等は、オプション価格にて受注いたします。
・響板花模様装飾(テムペラ画)
・大理石模様仕上げ(マーブルペイント)による外装(初期フレミッシュ様式)
・金箔唐草模様による外装(18世紀フランス様式)
・各時代様式によるバロック彫刻脚部=デザインにより各種。
・脚部様式に合わせた専用椅子(上下可動)=デザインにより各種。
・運搬用ソフトケース(防水キルティング使用)
・納期は受注状況およびモデルによって異なりますが、通常6カ月から1年以内です。
・ご希望により、分割払いも可能です。