fly with the wind


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osamu's RC flight

RCグライダー・電動プレーン
製作・調整・保守管理


【概 要】

 筆者のこれまでの失敗やトラブル体験から、RCグライダー、RC電動プレーンを製作、調整、保守管理する際の注意点、ヒントなどを記述しています。関連情報がありましたら筆者までお知らせください。「読者からのコメント」として追加させて頂きます。

メール: sakazaki(アットマーク)ari.bekkoame.ne.jp


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1.機体製作

1.1.主尾翼のねじれ
1.2.瞬間接着剤
1.3.エポキシ接着剤
1.4.リンケージ
1.5.受信機、電池の固定

1.6.受信機アンテナ
1.7.重心位置
1.8.鉛散弾でバラストを作る
1.9.EPP無尾翼機の製作とカバーリング

2.飛行調整

2.1.手投げテスト

3.保守管理

3.1.飛行後の点検と補修
3.2.長期保管

4.電動グライダー/電動プレーン・ヒント&ティップス

4.1. 電流計は必須
4.2. 高電圧・低電流が有利
4.3. ダイレクトかギアードか
4.4. ブラシレス・モーターとブラシ・モーター
4.5. ニッカド・ニッケル水素・リポ
4.6. 夏場は要注意!
4.7. ブレーキ設定


1.機体製作

1.1. 主尾翼のねじれ

 バルサリブ組の機体の場合、主翼をねじれないように製作するのは、けっこうむずかしいものです。特に前半をプランクしないオープンフレーム構造の主翼は簡単にねじれてしまいます。また、生地(骨組み)が正確にできていても、フィルム貼りの段階でねじれてしまうことがあります。軽量化された薄い水平尾翼や垂直尾翼は特にフィルムの張り具合には注意が必要です。

 対策としては、組み立てを定板(じょうばん)上で行うことです。筆者はホームセンターで売っている、ツキ板貼りのチップボードを使用しています。ムクの単板よりもねじれがなく、マチ針が効きます。この上に図面をテープで固定し、その上にサランラップをかけ、テープで固定します。この上にスパー、リブ、前縁材、後縁材をマチ針で固定し、組み立てていきます。

 フィルム貼りで主尾翼がねじれてしまった場合も定板が役立ちます。マチ針でねじれが取れるように固定し、ヒートガンあるいはドライヤーで全体を加熱し、そのまま一晩、放置すると、ねじれがだいぶ取れます。

 それでも主翼のねじれが完全に取りきれないときは、左右同じようにねじり下げの状態にします。ねじり下げとは、翼端の前縁が下がり、後縁が上った状態です。左右の主翼を後ろから見て、翼端にかけて主翼下面が同じ程度見えていれば、左右が同じねじり下げになっています。ただしこのねじり下げは翼幅1500mmの主翼の場合に数ミリ〜5ミリ程度で、それ以上は性能を悪くします。

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1.2. 瞬間接着剤

 瞬間接着剤は便利で強力ですが、接着面にわずかでもすき間があると接着しません。リブやスパーのはめ合わせをきっちりしておかなければなりませんが、たとえレーザーカットのリブでも、天然素材のバルサや木材は膨張収縮しますので、多少の隙間はできてしまいます。こういう場合は、バルサをサンドペーパーでこすって粉状にし、すき間に充填して瞬間接着剤を浸透させると強度が出ます。充填剤としてはマイクロバルーンやグラスパウダーを併用することもできます。これらはエポキシの軽量化・増量、粘度調節(後述)にも使えますので持っていると便利です。

 瞬間接着剤で注意が必要なのは、開封したらなるべく早く使うことです。季節にもよりますが、開封したら1週間以内に使うのが目安です。開封後、1ヶ月以上経過して接着力が悪くなったと感じられる場合は硬化促進剤(キッカー、アクセラレーター)を併用すると使えることがあります。

 またある程度の分量の瞬間接着剤は硬化時に発熱し、発泡スチロールを溶かすことがありますので、発泡翼には瞬間接着剤を使わないようにした方が安全です。なお発泡を溶かさないと謳ったアメリカ製の瞬間接着剤(Foam Safe CA)があり、一部日本にも輸入されています。

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1.3. エポキシ接着剤

 5分型エポキシは硬化が速く便利に思えますが、落とし穴もあります。特に夏場は硬化が速すぎてじゅうぶんな接着力が得られなくなるのです。ストップウォッチを使って、混合後1分間、全力で撹拌し、残り2分以内で塗布、固定することをお勧めします。また少量ずつ混合した方が安全です。5分型〜30分型エポキシは混合時に発熱するようで、夏場はその発熱でさらに硬化が促進されて作業時間が短くなることがあります。

 5分型〜30分型エポキシは各種ありますが、一般用に市販されている国内製品のほとんどは硬化後にわずかに柔軟性が残る設計のようです。これに対してアメリカ製品、たとえばDEVCON 5 Minute Epoxyは硬化後かなり硬くなります。それぞれ長短があるので使い分ける必要があります。また同じエポキシでも硬化剤がポリチオール系のものは硬度がやや低く、ポリアミド系の方が硬度が出るようです。

 エポキシ接着剤で木材を接着する場合には、接着剤が木材に浸透すると接着力が強力になります。このためには硬化時間が長い方が有利です。したがって強度を必要とする部分にはなるべく長時間硬化型のコニシ・ボンドEセットやセメダインスーパー(60分型)を使います。この2種はポリアミド系です。

 金属やFRPを接着する場合にも長時間硬化型を用い、必ず240〜400番程度の耐水ペーパーで接着面を荒らし、アクリル・シンナーなどの溶剤で表面を拭いてから接着します。表面に指から皮脂が付着すると接着力が大きく低下します。またFRPの場合は離型剤などが表面に残っていることがあり、これらを除去しないと接着力が低下して簡単に剥離してしまいます(多くの離型剤は温湯で洗い流すことができます)。

 長時間型エポキシでグラスクロスを貼るとき、あるいは冬場で粘度が高くて扱いにくい時はドライヤー/ヒートガンで温めると粘度が下がり、グラスクロスや木材に浸透しやすくなります。ただし、発泡スチロールは50度前後で溶けますので、発泡翼に使用するときは加熱しすぎないように注意が必要です。

【混合比:容量比か重量比か】

 エポキシを混合するときは混合比に注意しなければなりません。国内で一般に販売されているコニシやセメダインのエポキシのほとんどは混合比1:1となっていますが、これは容量比(容積比)です。したがって秤で重量を計量する場合には比重を考慮して適切な重量比で混合しなければなりません。

 たとえばコニシ・ボンドEセットの100gセットの混合比は容量比1:1ですが、A剤(主剤)55g、B剤(硬化剤)45gとなっています。ということはB剤の比重が小さいのです。秤で計量する場合の重量比は55:45=11:9となります。これを1:1の重量比で混合すると硬化剤が過剰となり、所定の強度が出ません。また最後に硬化剤が足りなくなってしまいます。筆者は重量比1:1で計量して使用していたとき、次第にチューブの残りがアンバランスになってきたのでこの比重の違いに気が付きました。

  セメダインスーパー(60分型)の110gセットは、主剤55g、硬化剤55gですので容量比、重量比ともに1:1で使用できます。

 なお工業用エポキシの場合は混合比はまちまちで、容量比で指定されていたり重量比で指定されていますのでそれぞれの取扱説明書で確認してください。ただし工業用エポキシは硬化剤の毒性に不安があるため、安易な使用はお薦めできません。

・エポキシ樹脂の硬化剤による健康障害の防止について(中央労働災害防止協会)

【エポキシと併用する素材】

エロジール(マイクロボール)
 無水珪酸の粉末。エポキシで肉盛りしたいとき、あるいは垂れては困るときに、粘度を上げるために混入します。ドライヤーで温めながら混入するとかなりの分量が溶け、ちょうどホイップクリームのように「角が立つ」状態にすることも可能です。

マイクロバルーン micro-baloons filler
 単に増量・軽量化したいときはグラス系(白色)あるいはフェノリック系(チョコレート色)のマイクロバルーンを混入します。マイクロバルーンを加えると硬化後、サンディングしやすくなります。ただし、マイクロバルーンは粘度を高める働きはほとんど持っていません。また大量に混合すると軽量化するかわりに強度は低下します。瞬間接着剤と併用することもできます。

グラスパウダー milled fiberglass
 ガラス繊維を粉末にしたもので、マイクロバルーンよりも重量はありますが強度は高まります。瞬間接着剤と併用することもできます。

グラス・チョップトストランド glass chopped strand
 ガラス繊維を長さ5mm程度にカットしたもの。エポキシに混入すると割れにくくなりますので、小物パーツや強度を必要とする部分に使います。同様にカーボン繊維やケブラー繊維を短くカットしてエポキシに混ぜても強度を高めることができます。

【エポキシ接着剤使用上の注意】

 エポキシ接着剤の硬化剤には人体に有害な物質が含まれています。特に5分型、30分型など短時間硬化型の硬化剤は揮発性が強いので、ガスを吸わないように作業は通気性のよい場所で手短かに行うようにします。

 また未硬化の接着剤には極力、触れないようにします。もし手に付着した場合は、すぐに温湯と石けんで洗い落とします。決してシンナーで拭ってはいけません。シンナーで拭うと皮脂も取り去ってしまい、微量のエポキシが皮膚に浸透し、さらには血液に入り込んで後に重大な障害を起こす危険があります。使用前に手にハンドクリームを塗って保護することも有効とされています。

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1.4. リンケージ

 サーボと舵面をプッシュロッドやワイヤーで接続し、送信機からスティックを操作するときちんと動作する…しかし、ここでひとつチェックが必要です。それは舵面の側を軽く持って(押さえて)サーボを動かしてみることです。プッシュロッドの場合はサーボから押す動きが問題です。舵面を押さえてサーボを動かしたとき、舵面に力が感じられずに、途中でロッドがたわむことがあります。これでは飛行中の風圧に対して十分に力がかからず、舵の効きが悪くなって操縦しにくい機体となります。

 軽量ハンドランチ機で、両引きのワイヤーリンケージの場合はニュートラルで数ミリのガタがあるのは実用上問題ありませんが、引き側でじゅうぶん力がかかっていることが必要です。

 エルロン、フラップも同様で、最大上げ、下げの時にきちんと力がかかっているか、手で押さえて確認する必要があります。

 なお、舵を動作させてみてサーボがうなる場合はリンケージに抵抗があることを示しています。最大舵角付近でうなることもあれば、ニュートラルにもどったときにうなることもあります。ラダーやエレベーターの場合はサーボ側を外して手でロッドを動かしてみて、ロッドやヒンジに抵抗がないか確認します。樹脂製パイプの中に0.8〜1mm径のピアノ線を通してリンケージしている場合、パイプのわずかな湾曲でも抵抗になることがあります。

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1.5. 受信機、電池の固定

 受信機、電池は重心位置を調整したらきちんと固定します。特に後方には絶対ずれないように注意が必要です。しっかり固定しておかないと、手投げやハイスタート/ウィンチ曳航の際に後ろにずれ、最悪の場合は後ろ重心のために不安定となり、機体が激しいピッチングを起こしてコントロールできなくなります。

 固定の方法はいろいろありますが、位置の微調整ができ、緩衝効果があって確実なのはマジックテープを使用する方法です。

 すき間にスポンジや発砲スチロールを詰める場合は上述のように後ろ向きの力がかかってもスポンジや発泡スチロールが大きく圧縮されないように、固めに詰めておいた方がよいでしょう。

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1.6. 受信機アンテナ

 バルサ胴やグラス胴、アラミド(ケブラー)胴の場合は受信機アンテナを胴体内に収めることができます。グライダーは高度300mぐらいまで上げることもあるので、機体に余裕があれば、エクストラアンテナ(リモートレシーバー)を搭載することをお薦めします。

 カーボン製の胴体の場合はアンテナは胴体外に出し、アンテナの先端がカーボンから5mm以上、離れるようにします。アンテナの先端がカーボンに接触すると、受信感度が大幅に低下します。受信機位置からすぐ脇の胴体に穴を開け、そこからアンテナ線を引き出し、パイプなどを利用して先端がカーボンに接触しないようにします。

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1.7. 重心位置

・重心位置を測定する

 RCグライダーでは重心位置が重要です。滑空性能、速度、操縦安定性は重心位置によって大きく変化します。よくRCエンジン飛行機では、人差し指で主翼の下を支え、おおまかに重心を取ることもありますがRCグライダーではもっと正確に決める必要があります。

 適当な大きさの板に、胴体幅より数ミリ〜1センチほど広い間隔で、先端を細くとがらせたヒノキ棒を2本立てて自作できます。市販品としては米グレートプレーンズ社 Great Planes の C.G.マシン C.G. Machineがあり、ミリ単位で正確に重心位置を測定することができます。

 重心位置の胴体中央または主翼上面中央に小さな穴を開け、釣り用の細いテグスで釣り下げる方法もあります。微調整が必要な場合は機体の前後の傾きを見ます。この方法では機体の左右の重量バランスも確認することができます。

・重心位置を調整する

 キットに指示されている重心位置は、ほとんどの場合、最適重心位置よりも前になっています。これは初心者向きに滑空性能よりも安定性を重視しているためと考えられます。

 翼型や胴体の長さ、水平尾翼容積にもよりますが、おおまかにいって最適重心位置は平均翼弦の30%から40%の範囲にあることが多いものです。筆者は、キットに重心の指示がない場合には33〜36%をスタートラインにし、飛ばしながら少しずつ重心を後退させて滑空比が最適になる位置を探すようにしています。

 重心調整で注意しなければならないのは後退翼や前進翼では平均弦の位置が前後に変化するために、同じ35%といっても胴体の主翼付け根で測定する場合には補正が必要になることです。ただ、極端な後退/前進翼でない限り、胴体付近の主翼翼弦で設定してもまず問題はありません。後は飛行させて微調整します。ただし、以下の点に注意した方がよいでしょう。

(1)カンバーの大きな翼型では重心を後退させると、あるところから極めて不安定になります。

(2) スケール機によくあるケースですが、テールモーメントが短い機体、水平尾翼面積が小さめの機体では、重心を後退させると不安定になりがちです。

(3)主翼と水平尾翼の取り付け角差の設定が不明の場合は、とりあえず+0度〜+1.5度として調整します。

(4)重心を後退させていくと、エレベーターが敏感になりますので、送信機のデュアルレートでエレベーターの舵角を小さくします。

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1.8. 鉛散弾でバラストを作る

 RCグライダーでは多くの場合、適正な重心位置を得るために機首にバラスト(ノーズバラスト)を積まなければなりません。少量であれば釣り具店で売っている板鉛を積めばよいのですが、50g、100gとなると容積の割には重さがなく、細い機首では重量不足となります。溶かした鉛で機首の内部形状に合わせてバラストを作るのがベストですが、危険が伴うのであまりお薦めできません。鉛散弾をエポキシ接着剤で固める方法は、容積あたりの重量の点ではすき間のぶんだけ不利ですが、安全に作れてしっかり固定できます。

 筆者はグラス胴の場合は以下の手順でノーズバラストを作っています。

(1)機体が完成し、メカ積みも済んだ状態で、ビニール袋に鉛散弾を入れ、機首に押し込んで重心を確認します。スペースに余裕がある場合は受信機用バッテリーの位置も調整します。

(2)機首の散弾の量が決まったら、計量します。エポキシ接着剤も重量がありますので、その分の散弾を減らします。エポキシの目安は重量比で4〜5%です。たとえば100g必要なら、散弾95〜96gにエポキシを4〜5gとします。

(3)エポキシを混合します。エポキシは30分型の低粘度(グラス積層用)をそのまま使うか、長時間硬化型(コニシ・ボンドEなど)をドライヤーで温めて粘度を下げて使います。気温が30℃前後の夏場は、30分型は作業時間が短くなるので、60分型の使用をお薦めします。エポキシを充分に混合したら散弾を加え、よく撹拌します。散弾を混入して撹拌するとかなり抵抗が強くなりますので、強度のある木の棒か金属棒を使います。割り箸では折れてしまうことがあります。60分型の場合はドライヤーで温めると混ぜやすくなります。

(4)機首を下にして(3)を流し込みます。軽くゆすって散弾のすき間が少なくなるようにします。長時間エポキシを使用した場合はドライヤーで温めてやると流動性が高まり、よくなじみます。すべて流し込んだら木のヘラで表面を平らにならします。

(5)そのまま機首を下にした状態でエポキシが硬化するまで静置します。


 なお、同様の方法で適当な長さの金属パイプに鉛散弾を詰めて翼面荷重を増やすための(滑空速度を高めるための)バラストを作ることもできます。このパイプの中央に4〜5mmのタップを立て、胴体の重心位置にボルト止めします。

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1.9. EPP無尾翼機の製作とカバーリング

1.9.1.接着剤

 発泡スチロール(EPS)に通常の瞬間接着剤を使用すると、硬化時の発熱で発泡が溶けてしまいますが、EPP(発泡ポリプロピレン)は熱に強いので瞬間が使えます。左右翼の接合、ウイングレットの取り付けには5分〜15分硬化型のエポキシ接着剤が適しています。

1.9.2.テープ・カバリング

 EPP無尾翼機には、薄手の荷造り用カラーテープが付属してきます。仕上がりはまあまあですが軽量で強度があり、実用的です。ただ、貼り方にはコツがあります。

1)下地を整える

 EPPコアには熱線でカットした時のヘアが残っていることがあります。余りのEPPがついてきた場合には、それでこするとある程度取れます。次に#280〜320の耐水ペーパーをかけます。粗いペーパーでこすると、粒子を取ってしまいますので注意が必要です。粒子が取れてしまった場合には、水性のスパックリング(Spackling)で充填します。

2)3M77スプレー糊を吹き付ける

 テープの接着面の食いつきをよくするために、3M77スプレー糊をスプレーします。缶を1分ほどよく振って撹拌し、初めに試し吹きをしてからEPPに吹き付けます。

 このとき、翼に対して直角に吹き付けるだけではなく、角度を変えて吹き付け、翼の前縁と後縁にも確実に糊が付着するようにします。糊がきちんと付いていないところは、テープを貼ってしばらくすると浮き上がってきます。特にエレボンが付く後縁にはきちんと糊を付けるようにします。

 キットの取説には「軽く吹き付ける light coat」と書いてあるものもありますが、2〜3コートした方が安全です。

 また、あとから糊が不十分なカ所が見つかったら、スプレー糊をいったん紙に吹き付け、その糊をツマヨウジなどで塗りつけるとよいでしょう。

 スプレーしたら30分ほど放置して溶剤を揮発させます。アメリカの掲示板では一晩置け、という記事もありました。

3)カラーテープを貼る

 カラーテープを貼っていきます。スパン70cm以下の無尾翼機の場合、筆者は機首部から左右をワンピースで直線で貼っています。逆に後縁に平行に左右別々に貼る方法もあります。

 貼るときには中心部から木綿布で押さえていき、シワや気泡ができないようにします。重ね合わせは最初、2〜3mmにしましたが、後でアイロンでなじませるときに収縮するので、3機目には5〜6mmにしました。

 筆者は上面を黄色、下面を赤にしました。この場合、まず上面の黄色を貼ってから下面の赤を貼ります。赤テープは隠蔽力がありますが、黄色テープは半透明なので、黄色テープの上に赤テープが乗るようにしました。

機体紹介:・ゴライアス ・フレンジー 

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2.飛行調整

2.1. 手投げテスト

 翼面荷重がおよそ40g/dm2以下の機体であれば、ハイスタート/ウインチ曳航や動力飛行の前に手投げテストをすることをお勧めします(電動グライダーの場合は動力を使用せず、滑空させます)。草の生えている場所がベストですが、機速を付けるために走る必要がある場合は、あまり草の丈が長い場所は向きません(スパン1.5m、重量300g以下の軽量ハンドランチ機なら走る必要はありません)。

 手投げテストは重心位置の確認、機体の直進性の確認、舵の確認のために行います。注意点としては、必ず風に正対すること、決して機首を上向きに投げないことです。水平か、やや下向きに投げます。水平に投げても風があると機首上げを起こします。その場合はエレベーターダウンを当てますが、この加減はむずかしいので、できるだけ経験者とともにテストした方がよいでしょう。

 電動グライダーや高速スロープ機で翼面荷重が40 g/dm2以上の機体になると、風が弱いときは手投げで適切な初速を与えることがむずかしくなります。電動グライダーなら、動力バッテリーを取り外し、重心位置が変わらないように調整して手投げテストすることもできます。こうすると動力バッテリーのぶんだけ軽くなり、翼面荷重が小さくなって滑空速度が遅くなるため手投げがしやすくなります。

2.2. スロープ機にバラストを積む

 スロープでは、風の強いときにはややダウントリムとして機速を速めます。しかし、ダウントリムとすると滑空性能は悪くなります。最大滑空比で速度を速めるには、飛行重量を増やし、翼面荷重を増やします。滑空速度は翼面荷重の平方根に比例するからです。

 具体的には、胴体あるいは主翼中央の重心位置付近に鉛や真鍮などのバラスト(おもり)を搭載します。ポイントは重心位置を変えないようにすることです。このために、補正用の少量のバラストを機首あるいはテールに搭載する必要が出てくることもあります。

 ただし、バラストを積むと主翼への負担が増えますので、強度が不充分な機体では主翼がバンザイしたり、フラッターを起こすことがあります。また、着陸速度も速くなりますので、機体を破損する確率も高くなります。もともと抵抗の大きい機体では、速度が増すと抗力も増えるため、トータルでの速度増加がそれほどでもないこともあります。強風時には強風用の高速機を用意した方がよいともいえます。

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3.保守管理

3.1. 飛行後の点検と補修

 荒い着陸をした場合は、その場で、あるいは帰宅後に舵の動作テストをし、各舵面のリンケージに問題がないかどうかチェックします。

 よく調べてみるとホーンがはずれていたり、また主翼や尾翼の取り付け部の胴体にクラック(ひび)が入っていることがあります。またカンザシパイプの取り付け部も壊れやすい箇所ですのでカンザシを差してみてしっかり固定されているか確認します。

 グラス・エポキシ製の胴体や主尾翼のクラックは軽度であれば瞬間接着剤で補修します。割れが大きい場合はまず瞬間接着剤で形を復元し、穴やへこみはエポキシパテ(プラ模型用の軽量タイプがよいでしょう)で充填し、120〜240番程度の耐水ペーパーで胴体表面あるいは内面を荒らした後、50g/m2程度の薄いグラスクロスを長時間エポキシあるいは低粘度エポキシで貼ります。グラス用の低粘度エポキシがベストですが、長時間エポキシでもドライヤーで温めると粘度が下がり、グラスクロスに含浸しやすくなります。胴体の場合は、手が入るなら内側に貼った方がきれいに仕上げることができます。

 強度を上げたい場合は厚手を1枚貼るよりも、薄手を数枚、ずらして重ねた方が段差が目立たず、きれいに仕上がります。このときエポキシが硬化しないうちに手早く2〜3枚重ねて貼ります。こうするとグラスクロスの間のエポキシが結合して強度が出ます。エポキシが一度完全に硬化した上に貼ると、パイ皮のように剥離することがあります。

 グラスを表面に貼った場合は塗装したくなることもあるでしょう。丁寧に仕上げるならサフェーサーあるいはタルク(ベビーパウダーで代用可)を混ぜたラッカーで目止めをし、サンディングして段差をなめらかにし、塗装とサンディングを数回繰り返して平滑に仕上げます。簡略化するなら、軽くサンディングした後、適当な色の水性アクリルラッカー(プラ模型用)を塗ります。

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3.2. 長期保管

 RCグライダーを飛行させずにしばらく保管する場合には、ポリ袋などにくるんで保管すればよいのですが、スチールカンザシやリンケージのピアノ線は錆びやすいので防湿剤を入れておくとよいでしょう。

 保管する場合、特にグラス製の主翼や胴体はなるべく平らに置き、変形を避けます。とはいえグラス胴の変形はわずかであればドライヤーやヒートガンで温めて修正することができますからあまり神経質になる必要はありません。

 グライダーは軽いのでタンスや食器棚の上に載せて保管できますが、部屋の高い位置にむき出しで長期間(およそ半年以上)置いておくと、タバコの煙のヤニや調理時に台所から流れてくる湯気に含まれる油が付着して汚れたり、機体が熱で変形することがあります。

 バルサは乾燥すると非常にもろくなり、強度が低下しますし、逆に湿気が多いとカビが生えます。

 エポキシは紫外線に弱いので、エポキシ・グラス胴やシャーレの主翼などエポキシ樹脂を使用した機体は直射日光を避けて保存します。またエポキシは水分にも弱いので湿気の多いところは避けます。

 メカ類はなるべく外して保管します。特に受信機用ニッカド・バッテリーは数年放置すると劣化して十分な容量を維持できなくなります。また内部の電解質が漏れ出すこともあります。受信機とサーボも、湿気の多い物置などに放置するのは好ましくありませんので、長期保管の場合は外した方がよいでしょう。

 サーボの寿命ですが、筆者は最長15年使用したケースがあります。機体が大破したのでサーボを積んだまま廃棄処分にしましたが、サーボ自体はその時点で正常に動作しましたから、もっと使用できたかもしれません。

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4.電動グライダー/電動プレーン・ヒント&ティップス

4.1. クランプ式電流計は必須アイテム

 電動グライダーではプロペラの選定が重要な意味を持ちます。バッテリー、モーター、アンプが決まったら、あとはプロペラでパワーを調整しますが、その際には消費電流を確認することが必要です。パワーを求めるためについついプロペラを大きくしてしまいがちですが、消費電流が過大になると効率が低下し、モーター、アンプに悪影響が出てきます。また、同じダイヤ、ピッチ表示のプロペラでもメーカーによって負荷は異なりますから、電流値の測定は重要です。

 クランプ式電流計がお勧めで、回路を切断する必要がなく、プラスまたはマイナスのケーブルをクランプするだけで電流値が測定できます。

KYORITSU KEW SNAP model 2004


 筆者が使用しているクランプ式デジタル電流計で、直流20Aまでは分解能10mA、200Aまでは分解能100mAで測定できます。交流電流および電圧、抵抗も測定可能です。送受信機用バッテリーの充電電流、サーボ動作時の消費電流のチェックにも使用できます。

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4.2. 高電圧・低電流が有利

 筆者のこれまでの経験では、同じ入力ワット数であれば、電圧を高く電流を小さくした方が効率がよくなります。

 たとえば2セル7.4Vリポバッテリーで30A流しますと、入力は7.4V×30A=222Wとなりますが、バッテリーとモーターを適切に選ぶことができれば、3セル11.1Vで20A流した方が有利、ということです。具体的にはモーター、アンプ、バッテリーの発熱が小さくなり、軸出力が増加し、パワー・アップします。

 問題はモーターとコントローラーで、高電圧対応にしなければなりませんし、機体によっては搭載できるバッテリーパックの形状も考慮しなければなりません。

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4.3. ダイレクトかギアードか

 模型用のモーターは概して小型で、回転数で出力を稼ぐタイプが多いので、電動グライダーに使用する場合はギアを使用して減速し、大径プロペラを回した方が有利です。たとえばスピード400/7.2Vモーターはダイレクトでは7セルニッカドの場合6*3プロペラが限界ですが、これでは低速のグライダーでは効率が悪くなります。同じスピード400/7.2Vモーターでも4:1のギアを用いて減速すれば7セルニッカドで11*7のプロペラが使え、スパン1.5m程度のグライダーでははるかに上昇性能がよくなります。ギア損失は生じますが、それよりも大径ペラによる効率化の方がメリットが大きいようです。

 パイロン機に使用するような高回転型のモーター、たとえばスピード400/4.8Vは4.7*4.7プロペラなど、小径・強ピッチのプロペラを回し、かつ高速飛行した場合にもっとも効率がよくなるものです。これをそのままグライダーに搭載すると十分な推力が得られず、効率的ではありません。

 ただしアウターロータータイプのブラシレス・モーターはトルク型になり、ダイレクトでも大径プロペラを回すことができますので、ギアードに準じるものとして使用できます。適切なスペックのアウターロータータイプのブラシレスモーターを使用すれば、ギアの重量と損失から解放され、さらに音も静かになります。

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4.4. ブラシレス・モーター

 最近ではブラシレスモーターもコントローラーもだいぶ価格が下がってきました。

 筆者の経験では、ブラシレスモーターそのものはごく単純で、むしろコントローラーの品質が性能を左右するような印象を持っています。

 これまで米キャッスルクリエーションズ Caslte Creations社のフェニックス10 Phoenix、サンダーバード9 、サンダーバード18を使用しましたが、いずれも小型軽量で使いやすいコントローラーです。フェニックス10とサンダーバード9はほぼ同性能ですが、フェニックス10は電動ヘリにも対応しており多機能で、そのぶん、価格は高くなります。

 サンダーバード9はヘリ用機能はなく、電動飛行機、電動グライダー用となりますが、リポ2セル、3セルを自動判別し、またプログラムで逆転可能な点はフェニックス10よりも使いやすいといえます。

 フェニックス10では、リポ2セルから3セルに切り替える際には送信機を使って再プログラムしなければなりませんし、逆転させるにはコントローラーからモーターへの3本の線のうち2本を入れ替えなければならず、面倒です。

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4.5. ニッカドかニッケル水素かリポか

 以前はニッケル水素電池とリポ(リチウム・ポリマー)は大電流が流せないので動力用に使うには制約が大きく、スローフライヤー、軽量電動グライダーやインドア機に限られていました。しかしリポの進化は著しく、連続65Cの連続大電流放電が可能なリポも出てきており(2014年1月現在)、今後はリポの時代でしょう。

 リポは自己放電が少なくメモリー効果がない点からメンテナンスも容易です。なによりも重量あたりのエネルギーがニッカド電池、ニッケル水素電池に比べてはるかに大きいのがメリットです。これによって、これまでは考えられなかった超軽量室内RC機や超小型RCヘリが可能となってきましたが、電動グライダーもまた大きく発展しています。

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4.6. 夏場は要注意!

 気温はバッテリー、モーター、アンプに大きく影響します。30度以上になる日本の夏は電動グライダーにとっては過酷です。気温が低い時期には快調に飛んでいた機体が、夏にはトラブルを起こすこともあります。

 特に高性能モーターに使用されているネオジム(ネオディウム)マグネットは高温には弱い(70℃以上では消磁する危険があります)ので、夏場には注意が必要です。飛行中にできるだけモーター、アンプ、バッテリーが冷却されるようにエア・インテークを作る、プロペラサイズを1段階小さくして負荷を減らし、発熱を抑えるなどの配慮をした方がよいでしょう。

 バッテリーの充電の際も、夏場は充電器とバッテリーをファンで冷却するなどの配慮が必要です。

 余談ですが、夏場は人間も効率が悪くなりますね。そのために判断ミス、不注意ミスが多くなりますので注意しましょう。

非接触式温度計

 モーターやバッテリー、アンプの温度を測定します。非接触式ですが、なるべく測定対象に近づけた方が正確に測定できます。金属の反射面は正確に測定できないことがあります。

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4.7. ブレーキ設定

 純グライダー(F3B、F3J、F3Kなど)の場合、一般にスロットル(エンコン)スティックをブレーキ(スポイラー、スポイロン,バタフライ、クロウ)に使用します。この場合、スロットルスティックがフルハイの位置でノーマル(巡航状態)、スティックを下げるに従ってブレーキ量が増え、最スローでブレーキ全開とします。可変カンバーフラップの操作はスライダーあるいは2〜3ポジションスイッチを用います。

 また、やや操作が煩雑になりますが、曳航(発航)モード、巡航・着陸モードの2モードを切り替えることによって、スロットルスティックの機能を切り替えることも行われています。この場合たとえば以下のように設定します。

a)曳航(発航)モード:スロットルスティック再スローで発航用フラップ(フラップ下げ、エルロン下げ)。離脱後、スロットルフルハイでニュートラル。

b)巡航・着陸モード:スロットルスティック再スローでブレーキ(バタフライ)全開。ブレーキは着陸時だけではなく、強力なサーマルから脱出する際にも使用します。巡航中の可変カンバーフラップの操作はスイッチまたはスライダーで行います(さらにモードを切り替えられるようにして、スロットルスティックを可変カンバーフラップ操作に使うことも可能です)。

 電動グライダーの場合はモーターのオンオフを行いますが、この操作方法は2通りあります。

(1)スイッチでモーターオンオフ

 上述の純グライダーに準じて、スロットルスティックをブレーキに使用し、モーターのオンオフはギアスイッチやスライダースイッチを用います。モーターは高度獲得の手段とみなし、動力を用いた巡航飛行は行わないことを前提とします。F5Bではこの方式をとることが多いようです。

(2)スロットルスティックでモーターコントロール

 実物のモーターグライダーの場合、高性能ソアラーの滑空比になるように低出力の動力飛行をしたり、ほぼ軽飛行機に相当する動力飛行をすることがあります。このような飛行をRCグライダーで実現する場合は、やはりスロットルスティックでモーター出力をコントロールします。この場合、着陸時にはあまりブレーキを使用することはありませんが、ブレーキやフラップをスイッチかスライダーに割り当てることもできます。

 エンジン機に慣れているパイロットには(2)の方式が操作しやすいですが、グライダーパイロットにとっては(1)の方が操作しやすく、また(1)の方が着陸時に微妙なブレーキ操作ができます。ブレーキをオンオフスイッチに割り当てると、急激な姿勢変化を起こすことがあり、操縦がむずかしくなります。特に着陸時には、スロットルスティックあるいはスライダーを使って、「じわ〜〜」っと操作するのがポイントです。プロポにディレイ機能がある場合は、ブレーキをオンオフスイッチで操作しても、急激な姿勢変化を避けることができます。

 なお、実物のグライダーでは、正確に着陸コースを決め、風速に応じて一定高度でスポイラーを作動させ、あとは、そのまま着陸させるのが基本だそうです。つまり、途中でスポイラーの出し入れはしないということです。

 可変カンバーフラップの操作にはスライダーを使ってもよいですし、スピード(フラップ数ミリ上げ)、ノーマル、サーマル旋回(フラップ数ミリ下げ)を3点切り替えスイッチで操作することも可能です。

【なぜブレーキにエンコンスティックを使うのか】

 まだコンピュータプロポが存在しなかった時代、飛行機用のプロポは、エンコン、エルロン、エレベーター、ラダーの4chが基本で、これに引き込み脚スイッチを加えて5ch、さらに回転ノブやスライダースイッチで操作する予備チャンネルを加えて6chのプロポが使われていました。グライダーの場合はエンコンが必要ないので、エンコンチャンネルをスポイラーに使用することで、4chプロポでエルロン、エレベーター、ラダー、スポイラーのグライダーを飛ばしたのです。

last modified 2016.09.13



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